【6月21日 AFP】米テキサス(Texas)州の大陪審はこのほど、5歳の娘に性的暴行を加えていた男(43)を素手で殴って死なせた父親(23)に対し、刑事責任を問わず不起訴処分とする判断を下した。19日の検察側記者会見によると、父親の行為を「正当な殺人」とみなすべき十分な証拠があると認められたという。

 大陪審では証拠として、この父親が取り乱した様子で警察の緊急通報ダイヤル「911」に電話してきて、殴り倒した男の救助を要請する通話録音が再生された。父親はすすり泣きながら「救急車を呼びたい。この男はわたしの娘をレイプしていたので殴ったんだが…どうしたらいいのか分からない」「助けてくれ。わたしのせいでこの男が死んでしまう。何てことだ。これから病院に連れて行こうと思う」などと訴えたが、うろたえるあまり現場の住所を伝えることもできなかったという。

 同州ラバカ(Lavaca)郡のヘザー・マクミン(Heather McMinn)地区検事によると、テキサス州法では性的暴行を止める目的での暴行致死は「容認・正当化される」という。被害者の女児は負傷しているという。

 事件はラバカ郡シャイナー(Shiner)近郊の牧場で起きた。父親の警察への供述によると、娘が男に馬小屋に連れ込まれるのを見たと牧場の従業員から知らされて現場に駆け付けたところ、下着を下ろした状態のへスース・モラ・フロレス(Jesus Mora Flores)容疑者(47)が泣き叫ぶ娘にのしかかっていた。そこで父親は、娘を助けようとフロレス容疑者を夢中で殴ったという。
 
 被告側弁護人は、この父親は穏やかな人物で、事件の日も殺害する意図は全くなかったと説明。一家は現在も混乱した状態にあり、取材に応じる考えはないと述べた。

 事件現場の近隣住民らは、大陪審の判断を歓迎しており、地元メディアによると「娘を守ったこの父親にはメダルを贈呈するべきだ」「自分の子どもが被害に遭ったら同じことをする」などと述べているという。(c)AFP