■「こいつに触られたくない」と侮辱されて

 ニューヨークのヘアサロンで働いているダスティ。「中には『これには頼みたくない』『これに触られたくない』と言ってくる顧客もいる。『彼女』や『彼』でさえない、『これ』呼ばわりをされる。そういったことに嫌悪感がある」と彼女は語る。顧客に帰るよう頼んだことが一度あるという。

米アラバマ州出身のトランスジェンダーモデル、ダスティ・ローズ(2017年9月5日撮影)。(c)AFP /ANGELA WEISS

 27歳のペッシュに出会う前、ダスティは履歴書をいくつかのモデル事務所に送った。毎回、アラバマ出身の若いトランスジェンダー女性だと自己紹介したが、成果はなかった。「トランスジェンダーであるため多くの身体的特徴と闘っている。求められることが多くなるからだ。小柄でなくてはならないとか、痩せていなくてはならないとか」と彼女は言う。「トランスジェンダーは典型的に大柄だから、それはどうしようもない。男性的すぎたり、女性らしくないのも仕方ないこと。『だめだよ、私たちが必要なのは女性モデルだけなんだから』と言ってくるフォトグラファーたちには『オーケー、分かった』と答えるしかない」