【2月5日 AFP】(写真追加)フランス・パリの老舗キャバレー「クレイジー・ホース(Crazy Horse)」で2月1日から15日までパフォーマンスを行うディータ・ヴォン・ティース(Dita Von Teese)。服を芸術的に脱いでいく「バーレスクの女王」として、そして美しくドレスアップした「ファッション・アイコン」としてグローバルに活躍している。

  クレイジー・ホースのマネージャーは「彼女は服を脱いでいくことで収入を得ている。けれど彼女の場合、服を脱ぐことは同時に着ていた服を称賛することを意味するんだ」と語る。

■ベストドレッサーとしても人気

 美しい黒い髪に白い肌。白雪姫のような容姿のディータは、現在36歳。以前はゴシック・ロックスターのマリリン・マンソン(Marilyn Manson)と結婚していた。「クリスチャン ディオール(Christian Dior)」や「ジャンポール・ゴルチエ (Jean Paul Gaultier)」といったらトップメゾンと親交が深く、世界のベストドレッサーとしても常に上位にランクイン。最近は「ワンダーブラ(Wonderbra)」のためにランジェリーをデザインした。

■初恋はランジェリー

 膝丈のダークグリーンのドレスと、驚くほどヒールの高いシューズ姿で登場したディータは、「ランジェリーが私の初恋だったの」と語る。「ランジェリーの歴史に興味を持って学んでいたら、ピンナップ・ガールたちの写真に出会ったの。そして、ピンナップ・ガールからバーレスクのスターたちを知った。それが始まりよ」

■「誇張された女らしいフォルムが好き」

 アメリカの小さな町に暮らすブロンドの女の子だったディータは30~40年代のハリウッドへの情熱を胸に成長した。ダンスとコスチュームデザインを勉強し、初めてのストリップの舞台を十代で経験する。ヴィンテージにインスパイアされた衣装と、ひじまであるグローブ、シームストッキングは常連の興味をそそった。

  「フェティシズムに興味があるの。誇張された女らしいフォルムが好きだから。やりすぎなハイヒールや、ウエストを締め上げるコルセットみたいな極端にフェミニンなシルエット。赤いネイルやお化粧もとても女性的で好きよ。フェティシズムは女らしさと極端さへの崇拝のようなもの。究極の中に美を見つけるの。常に虜にされているわ」

  また、なぜ人々がシームストッキングやラバー、レザー、ハイヒールなどにフェティッシュな感情を抱くのか、ということにも興味を持つようになったと語る。「何が人々を動かすか、興味があるの。美や官能について想像するとき、みんなとは違う何かを思い浮かべることが重要よ。人の興味は広範にわたるから」

■バーレスクを元の芸術様式にもどしたい

 舞台には、巨大なシャンパンやマティーニのグラスや、巨大な口紅といったセットが登場。羽の扇を手に、ダイヤモンドやスワロフスキークリスタルだけを身に着けて歩く。彼女の憧れはジプシー・ローズ・リー(Gypsy Rose Lee)。「私はバーレスクを元の芸術様式にもどしたいの」

 パリはバーレスク・アートにとって理想的な場所だとディータは話す。「悲しいことに、アメリカはバーレスクの本当の意味を全て失ってしまったように感じるわ。彼らにとっては単なる際どいモノでしかないの」  

「ミスタンゲット(Mistinguett)やジョセフィン・ベーカー(Josephine Baker)の名前を今でも覚えている国はフランス以外にないわ。アメリカでは彼女たちは完璧に忘れられてしまった。ジョセフィンが米国からフランスにやってきた20年代や30年代でも、フランスの方がより自由だったわ」とディータは語った。(c)AFP