【7月13日 AFP】米首都ワシントン(Washington D.C.)のスミソニアン・アメリカ美術館(Smithsonian American Art Museum)が、写真家の故アーヴィング・ペン(Irving Penn)のほぼ20年ぶりとなる回顧展を開催すると発表した。同館のライバルであるニューヨーク(New York)のメトロポリタン美術館(Metropolitan Museum of Art)に差をつける展覧会になりそうだ。

 スミソニアン・アメリカ美術館が出した声明によると、「アーヴィング・ペン―美を超えて(Beyond Beauty)」と銘打ったこの展覧会は、今年10月23日に開幕予定。ペンの写真146点が展示され、うち大半が未発表作品になるという。

 ニュージャージー(New Jersey)州に生まれ、2009年10月にニューヨークで92歳で死去したペンは、1940年代半ばから50年代にかけてヴォーグ(Vogue)誌などに掲載された画期的なファッションフォトで最も良く知られている。

 しかし本展覧会では、ペンが1930~40年代にかけて撮った珍しいストリートスナップに加え、著名人のポートレートや静物写真、「よりプライベートなスタジオ写真」なども展示されることになっているという。

 さらには、リサ・フォンサグリーヴス(Lisa Fonssagrives-Penn)夫人がモロッコでスーパー8ミリフィルムで撮影したホームビデオも公開される。

 先月にはメトロポリタン美術館が、2017年4月にペン生誕100年を記念する回顧展を開催すると発表しており、これに対抗する展覧会になるといえる。

「ほぼ20年ぶりとなるこの回顧展では、現代の巨匠ペンが残した作品をたたえると同時に、ペンがいまだメディアに与え続けている影響力の大きさを証明するものになる」と、同館は紹介している。

 収蔵作品の幅でいえば、メトロポリタン美術館よりスミソニアン博物館の方に軍配が上がる。後者は1988年に生前のペン本人から寄贈された60点に加え、遺産を管理するアーヴィング・ペン財団(Irving Penn Foundation)からの寄贈作品100点も所有している。

 スミソニアン博物館のベッツィー・ブラウン(Betsy Broun)館長は、「ペンの生涯にわたる作品を振り返ってみて、ペンが亡くなる前の20年により大胆で型破りになったことが確信できました。本展覧会でその転機を探り始めたいと思います」と話している。

「アーヴィング・ペン―美を超えて」は同館で来年3月20日まで開催され、その後米国各地で巡回展示されることになっている。(c)AFP