【5月14日 AFP】イスラエルが占領するパレスチナ自治区ヨルダン川西岸にあるユダヤ人入植地に住む生物学研究者アンナ・スロウスキン氏(37、女性)は、イスラエルの領土を拡大し、いつかレバノン南部へ移住することを切望しているが、同じ考えを持つイスラエル人は他にもいる。

イスラエル軍とレバノンの親イラン民兵組織ヒズボラの交戦により100万人以上のレバノン人が避難を余儀なくされる中、イスラエルの入植運動の極右派は北方へと目を向けている。

スロウスキン氏は2024年、同年パレスチナ自治区ガザ地区で戦死したイスラエル兵で兄のイスラエル・ソコル氏をしのんで極右入植運動「ウリ・ツァフォン(北風よ、目覚めよの意)」を立ち上げた。この運動は勢力を増しており、今では数十の家族が参加しているという。

ウリ・ツァフォンは、イスラエルの北の対レバノン国境を現在の国境から約30キロ北のリタニ川まで拡大し、そこにイスラエルの民間人が入植し、恒久的に居住することを目指している。

スロウスキン氏は、「レバノン人住民の大半を避難させて国境を移動させ、レバノン人住民の帰還を許さず、宣言によってその地域をイスラエル国の一部とするのがこの構想だ」と説明した。

スロウスキン氏は、ヨルダン川西岸北部のユダヤ人入植地カルネイ・ショムロン近くにあるソコル氏を記念した丘の上の展望台で、「兄はレバノンへの入植を夢見ていた」「夏は緑、冬は雪に覆われる場所に住みたいと言っていた」と語った。

イスラエル政府は、レバノン南部への入植運動に対し、公的な政治的支援を一切行っていない。

イスラエル政府は、占領するヨルダン川西岸ではユダヤ人入植地の大規模な拡張を承認しており、極右の閣僚たちはヨルダン川西岸の併合を公然と主張している。

ヨルダン川西岸では、パレスチナ人約300万人が暮らす一方、入植地や「アウトポスト(前哨地)」に約50万人のイスラエル人も居住している。イスラエルの入植地はすべて国際法違反だが、アウトポストはイスラエルの国内法でさえ違法とされている。だが、多くのアウトポストは最終的にイスラエル当局によって合法化されている。

スロウスキン氏はレバノン南部のユダヤ人入植地について、イスラエルの安全を保障し、ヒズボラとの戦いの連鎖を断ち切る上で極めて重要だと主張。

「イスラエル国防軍(IDF)が現在行っているのは第一段階だ」「IDFは進駐し、制圧し、掃討する。われわれはその後、撤退するのではなく、入植しなければならない」と述べた。

イスラエル軍は、レバノン南部の一部地域に侵攻した後、部隊を駐留させる必要があるかもしれないと述べたが、その期間には言及しなかった。

4月中旬に発効したレバノン停戦は今も続いており、イスラエルとレバノンの交渉担当者は米首都ワシントンで新たな協議を行っている。