【11月29日 AFP】ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は28日、大規模な汚職事件への関与が取り沙汰され、家宅捜索も受けた最側近のアンドリー・イエルマーク大統領府長官(54)を解任した。

ロシアが東部で攻勢を強め、米国がウクライナに大幅な譲歩を迫る和平案を提示する中、イエルマーク氏の解任はゼレンスキー氏にとって深刻な打撃となる。

消息筋によると、イエルマーク氏は今週末、米国での和平案をめぐる交渉団のトップを務める予定だったが、その計画は頓挫した。

野党がイエルマーク氏の解任を求めて圧力を強めていたにもかかわらず、ゼレンスキー氏は先週、信頼の表明としてイエルマーク氏を和平案をめぐる交渉団のトップに据えた。

ゼレンスキー氏は28日、ビデオ演説で、「ウクライナ大統領府は再編される。アンドリー・イエルマーク同府長官は辞表を提出した」と発表した。

その数分後、ゼレンスキー氏はイエルマーク氏を「解任する」大統領令に署名した。

国家汚職対策局(NABU)の捜査官は28日朝、捜査の一環として、イエルマーク氏の自宅を家宅捜索したと発表した。捜査内容については明らかにされていないが、イエルマーク氏は捜査に全面的に協力しているという。

イエルマーク氏は、今月発覚した戦略的エネルギー部門における1億ドル(約156億円)規模のキックバックスキームへの関与が疑われている。

ロシアがウクライナの電力網に深刻な打撃を与え、停電や冬季の暖房停止の脅威をもたらす中、ウクライナ国民は汚職疑惑に激怒している。

スキャンダルを受け、ゼレンスキー氏は28日、国民の結束を促そうと試みた。

「われわれが団結を失えば、すべてを失う恐れがある。われわれ自身、ウクライナ、そしてわれわれの未来だ」と述べた。