大規模拉致相次ぐナイジェリア、国家緊急事態宣言
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■「テロリストを一掃」
国家による統制が及んでいない北西部と中部の農村部では、「盗賊団(バンディッツ)」と呼ばれる重武装した犯罪組織が跋扈(ばっこ)し、村々を襲撃しては住民を殺害・拉致している。
バンディッツは、ザムファラ州、カツィナ州、カドゥナ州、ソコト州、ケビ州、ナイジャ州にまたがる広大な森を根城とし、そこから出撃しては近隣の村々を襲い、家畜泥棒、身代金目的の拉致、殺人、略奪、家屋への放火などを繰り返している。
ティヌブ氏は情報部に対し、「森にひそむテロリストとバンディッツを一掃する」ため、森林警備隊を「直ちに」派遣するとともに、森林パトロール要員を増員することを承認したとして、「今こそ、全員の協力が必要だ」と述べた。
さらに、依然として拘束されている生徒らを「救出するための努力」を継続すると表明した。
ラゴスに拠点を置くセキュリティ・アドバイザリー会社SBMインテリジェンスの報告書によると、ナイジェリアでは2024年7月から2025年6月までの1年間で、拉致事件が997件発生。4722人以上が連れ去られ、762人以上が殺害された。
同報告書によると、拉致犯は総額約480億ナイラ(約52億円)の身代金を要求したが、実際に手にできたのは25億7000万ナイラ(約2億8000万円)だった。
SBMインテリジェンスは、「(24年7月~25年6月の1年間に)ナイジェリアの身代金目的の拉致危機は、組織化された営利産業へと変貌を遂げた」と述べている。
ドナルド・トランプ米大統領は今月、ナイジェリアでキリスト教徒が「ジェノサイド(集団殺害)」されていると主張し、軍事介入をちらつかせているが、ナイジェリア政府はこの主張を否定している。
ティヌブ氏は、モスクや教会に対し、治安情勢が特に不安定な地域で礼拝のために集まる際には安全対策を講じるよう強く求めた。(c)AFP