【2月8日 東方新報】「中国のシニア観光市場は、高齢者の健康状態の改善、購買力の増加、そして退職後の探求心とレジャーへの欲求などを背景に、大きな成長の可能性を秘めている。しかし、シニア旅行者の要求や好みは若年層とは異なり、これに対応するには革新的なアプローチと差別化された手配が必要だ」、政府関係者やアナリストはこのように高齢者向けの観光市場に注目している。

 国家発展改革委員会・社会発展司の劉明(Liu Ming)司長は「中国の社会と経済の急速な成長で、旅行に対する認識が変化し、高齢者の旅行への憧れがますます強まっている。今やシニア層は旅行市場全体で大きな割合を占めるようになった。旅行業者やサービス業者には、高齢者のユニークな需要と嗜好に合わせたサービスの向上と多様化が求められている」と話す。

 国元証券(Guoyuan Securities)の調査によると、可処分所得の増加と消費者の意識の変化で、高齢者の81パーセントが旅行に対する明らかな意欲を示し、そのうち64パーセントが毎年2回以上旅行に出かけるという。

 中国旅游研究院の昨年7月の報告書によると、「14次五か年計画(2021-25)」の終わりまでに、国内のシニア観光収入は1兆1400億元(約23兆4965億円)に達すると予測されている。

 また、シニア層は単なるレジャー以上のものを求めており、文化的な豊かさ、個人的成長、社会的交流の機会が得られる旅行体験を望んでいるという。

 観光分野に詳しい商業コンサルタントは「従来のシニア向け観光市場は、商品や体験の範囲が狭く、選択肢が限られ、シニア層の豊かで多様な興味と欲求を捉えるには至らなかった。今シニア層に最も人気のある旅行商品は、健康重視のツアーパッケージ、文化体験旅行、家族・友情重視の旅行という三つの主要カテゴリーに分類できる」と分析している。

「中国老齢産業協会(China Silver Industry Association)」とオンライン旅行会社「同程旅行(LY.COM)」のデータから、余暇時間が豊富な定年退職者は、柔軟な旅行スケジュールを選ぶ傾向が強く、オフピークシーズンを好むことが分かっている。シニア旅行者は寒い冬と灼熱の夏を避ける傾向があり、旅行のピークは3月から5月と9月から11月の時期であることが明らかになった。

 国務院は、シニア観光市場の可能性を追求するため、シルバーエコノミー発展のガイドラインを発表し、旅行会社に対して、年齢制限をあまり重視せず、顧客の健康状態にもっと重点を置くことを強調し、苦情処理の仕組みの改善と各社への監督強化を提起している。また保険会社に対しては、旅行保険の適用範囲の拡大と、高齢者のニーズに合わせた具体的な条項の充実を求めている。

 現在旅行会社は、高齢者特有の要求に応える革新的な商品やサービスの研究開発に力を注いでいる。携程(シートリップ、Ctrip)のグローバル向け旅行予約サイト・トリップドットコム(Trip.com)は、高齢者の旅行体験の品質向上のため、食事時間を最低1時間、観光時間を通常のツアーよりさらに20パーセント増やすなど、グループツアーで設定可能な指標を導入したという。

 また旅行ポータルサイト「途牛(Tuniu)」は、シニア旅行者向けに全面包括パッケージ商品を提供し、オプション行動にかかる追加費用を最小限に抑え、スケジュール全体がシニア旅行者に適したものになるよう、ゆったりしたペースでそれぞれの活動に十分な時間を割り当てている。(c)東方新報/AFPBB News