【12月3日 CGTN Japanese】中国南部の広西チワン族自治区ではこのところ、1980年代から90年代にかけて製造された手巻き機械式腕時計が大人気で、製造元の南寧市腕時計工場の入り口前には連日、数百メートルの長蛇の列ができています。毎日午前8時ごろから番号札が配られるのですが、午前5時に到着した彭さんが受け取った番号は、なんと1375番だったとのことです。

 ブームを引き起こしたのは同工場のオリジナル製品で、ブランド名は「桂花牌」(「キンモクセイ・ブランド」の意、同自治区はキンモクセイで有名)です。現在発売されているのは1990年代からの在庫品で、価格帯は80元(約1700円)から300元(約6200円)です。

 同工場は1970年に設立され、数多くのブランド時計を生産してきました。また、この「桂花牌」の腕時計は1985年に同自治区の「有名ブランド」の称号を獲得したことから、当時は大人気でしたが、かなり前に生産停止になりました。

 南寧市西郷塘区に住む40代の黄さんは午前3時から並んで、金色の小さな四角い時計を購入できました。価格は256元(約5300円)でした。黄さんは「古いものには特別な愛着がある」と述べました。

 いま、「桂花牌」の腕時計にはすでに購入制限が設けられています。工場側は、倉庫に長く保管していたために精度が低下し、部品もある程度摩耗しているので、必要に応じて冷静に購入するよう勧告を出しましたが、人々の情熱は衰えていません。同自治区の桂林市から来た20代の黎さんは、両親から必ず1個買ってくるよう頼まれたと説明しました。「両親は1970年代生まれで、若い時に買えなかった悔しさを補うため、どうしても身につけて、自分たちの青春時代を記念したい」とのことです。

 南寧市社会科学院経済発展研究所の杜富海副所長は、「桂花牌」の時計が改めて大人気になったことについて、「人々が街にかつて存在した古いものを見出して古い記憶を呼び覚まさし、過ぎ去った時間への愛着を感じている」と分析し、さらに国産品がある程度の新しい成長のチャンスを迎えていることも示しているとの見方を示しました。(c)CGTN Japanese/AFPBB News