【11月22日 CGTN Japanese】中国の電子商取引(EC)市場では現在、「アインシュタインの脳」や「バーチャル蚊」「野生の象」などのバーチャル商品が増えており、「情緒製品」とも呼ばれるこれらの商品は特に若者の間で人気が高まっています。

 あるショッピングサイトでは、0.01元(約0.2円)から1元(約20円)の価格帯で「アインシュタインの脳」が販売されており、PR用にはアインシュタインの顔写真が使われています。商品説明文には「この脳を購入すれば、自動的に徐々にあなたの脳内で成長していきます」「買ったことがある人は皆、役立つと言っています」などと書かれています。この商品を「聡明脳」「愉快脳」「文系脳」「理系脳」「試験脳」などに細分している業者もいます。

 購入者による商品評価の欄は、「効果あり。1桁の足し算と引き算を学んだらすぐに身に付いた。生活面では自己管理能力も手に入った」「役に立った。ハーバード大学に合格した」「大学入試で1万点以上も得点した」などのジョークで埋め尽くされています。

「アインシュタインの脳」以外にも、「バーチャル蚊」が人気を集めています。購入後にはメッセンジャーなどで友達申請をし、申請が許可された後、購入者のSNSに蚊の羽音を模した「ブーンブーン」という言葉が送られ、付属の動画やSNS上の絵文字、ステッカーなどが利用できるようになります。購入側が投じた金額が多いほど、関連文字や動画などの受信期間は長くなります。

 他にも「野生の象」や「野生のティラノサウルス」などの商品があります。売り手側は「注文すれば野生の象やティラノサウルスがあなたの住む場所まで自分で歩いて行きますよ」と言っています。

 業界関係者は、「情緒製品」の出現はユーザーの精神的な求めが密接に関連していると分析しています。中国の動画共有プラットフォーム「bilibili(ビリビリ)」が発表した「青年心理健康報告2022」によると、「bilibili」では2022年、精神面の健康関連の動画の再生数が76億回を超え、「焦り」「憂うつ」「ストレス」などの心理関連キーワードの検索数は9930万回にも上りました。複雑で激変を伴う生活が一部の人を不安に陥れているために、気軽で楽しい体験を提供してくれる製品に対して大きな需要があり、「情緒製品」は若者の心の中の消耗を減らすことができるとみられています。

 あるネットユーザーは、売り手が商品につけた名前がとても面白くて、見るだけで楽しくなり、コメント欄でコメントを読むだけでも楽しくなると書き込みました。別のネットユーザーは商品の評価欄に「アインシュタインの脳を買って、自分にはアインシュタインの知恵があると想像しながら、喜びと自信を持って試験会場に入ったら、超常的な結果を出せるかも」とコメントしています。(c)CGTN Japanese/AFPBB News