■使い捨てカイロ

 部隊の位置から数キロ離れたバフムート近郊の地下には、頑丈な壁に守られた最前線の医療施設があった。ここを率いる医師は「オスマク」というコールサインを名乗った。

 スタッフがドアや窓に断熱材を入れていた。薪ストーブが置かれ、一部の部屋にはカーヒーターもあった。去年の冬は「適切な装備を整える時間がなく、かなり大変だった」というが、今は医師もスタッフも半袖を着ている。

 治療に使われる部屋の室温は「28~30度」が適切だとオスマク医師は語った。負傷兵は時に野外で長時間過ごした上に、失血などで低体温に陥っていることがあるからだ。

 担架で2人の兵士が運ばれてきた。いずれも大腿部に砲弾の破片が刺さり、1人は手術台の上で震えていた。衛生兵はアルミ製ブランケットでその兵士を包み、屋外にある大型発電機で温めた空気を送るパイプをその内側に入れた。

 気温が氷点下になれば、凍傷にかかるケースも出てくるだろうとオスマク医師は言った。

 ただ、今年は使い捨てカイロを使っている兵士が増えていることに気付いたという。「今のように担ぎ込まれてくる負傷兵も、上着の下や手袋の中にカイロを入れているのをよく見る。去年の冬はあまり見掛けなかった。そんなに使っていなかった。今年は皆、自分の体に気を付けている」 (c)AFP/Emmanuel PEUCHOT