【11月24日 AFP】ロシア軍はウクライナ東部の要衝ドネツク(Donetsk)州アウディーウカ(Avdiivka)を奪取しようと人海戦術を仕掛け、多大な損失を被っているにもかかわらず、次々と兵士を投入している。ウクライナ兵らが明らかにした。

 くぼ地に位置するアウディーウカは、ほぼ3方をロシア軍に包囲されているが、双方が1年以上突破口を見いだせず消耗戦の象徴となっている。

 しかし、ロシア軍は兵力と装備の消耗にもかかわらず、アウディーウカ奪取を諦める気配を見せていない。

 第47機械化旅団のウクライナ人大隊の副官を務めるオレクサンドル氏はAFPの取材に対し、「戦場のそこかしこに遺体が散らばっている」「ロシアは波状攻撃を仕掛け、われわれの防衛線を疲弊させようとしている」と語った。

 膨大な数の兵士の投入は、アウディーウカ攻防戦におけるロシアの戦術変更を示している。

 ロシアは10月、アウディーウカを包囲しようと数百台の装甲車を投入して大規模攻撃を仕掛けた。

「トラウマ」のコールサインで呼ばれる無人機操縦士(29)は「戦車と装甲兵員輸送車が隊列を組んで進軍してきた」「だが、地雷原にはまり、無人機と対戦車ミサイルによる攻撃を受けた」と語った。

 西側当局者によると、ロシア軍はこの作戦に失敗。装甲車200台以上を失った。

 オレクサンドル氏は、ロシア軍は歩兵部隊を重視する戦術に転換し、「兵員を犠牲にただ進軍している」と話す。

 トラウマは、ロシア兵は通常、5~7人のグループで夜間に進軍し、早朝に攻撃を開始するとしている。

 ウクライナ側は、米国に供与された歩兵戦闘車「ブラッドレー(Bradley)」から重火器の集中砲火で反撃している。

 トラウマは「(ロシア兵の中には)死ぬ者もいれば、進み続ける者もいる。まるでゾンビ映画だ」と語った。

 大勢の兵士を投入するという点で、ロシアのアウディーウカに対する直近の攻撃は、今年のバフムート(Bakhmut)攻防戦に類似している。

 ロシアの民間軍事会社ワグネル(Wagner)創設者の故エフゲニー・プリゴジン(Yevgeny Prigozhin)氏はバフムートを「肉ひき機」になぞらえていた。ロシア軍はバフムートを奪取するまでに、2万人以上の戦死者を出したという。

 ウクライナ兵らによれば、アウディーウカで同様の事態が展開されている。オレクサンドル氏は、「(ロシア側は)多くの遺体を見ているが、諦めない」と語った。(c)AFP/Emmanuel PEUCHOT