仏で爆弾脅迫相次ぐ 不満募らせる観光客、当局や業界も懸念
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【10月23日 AFP】フランスではこのところ、ベルサイユ宮殿(Palace of Versailles)やルーブル美術館(Louvre Museum)といった観光名所や空港などに爆弾を仕掛けたという偽の脅迫が相次いでいる。
同国では、パレスチナ自治区ガザ地区(Gaza Strip)を実効支配するイスラム組織ハマス(Hamas)によるイスラエルへの攻撃と、それに対するイスラエル軍による報復攻撃を受け、警戒レベルが引き上げられている。また13日には北部アラス(Arras)で、イスラム過激派組織「イスラム国(IS)」の名の下で教師が殺害される事件も起きた。
首都パリ近郊にあるベルサイユ宮殿では21日、爆破予告があり、来場者が避難を余儀なくされた。1週間で6度目の偽の爆弾脅迫だった。
警察筋によると、当時宮殿内には約5000人がいた。安全が確認され宮殿への入場が再開されるまで、雨が降る中、広大な庭園で自撮りを楽しむ人もいた一方で、不満を隠さず、ルーブル美術館の閉鎖が重ならないようにと願いながら、パリ中心部まで戻った観光客もいた。
事態を受けて、観光客はもとより、主要財源が脅かされる恐れがあるとして、地元自治体や観光業界も懸念を示し始めている。
ベルサイユ宮殿の広報担当者によると、この時期は1日に最大1万5000人が来場する。現時点では、予約のキャンセルは増えていないという。
宮殿から数百メートルの場所にある土産物店の店長は「客足に影響が出始めている」として、数日前からすでに店番の数を減らしていると話した。
19日には、全国で少なくとも11の空港に爆弾脅迫があり、避難が行われた。翌20日にも18の空港が同様の予告を受け、うち10の空港で利用者が避難した。
こうした爆弾脅迫は仏警察の通報サイトを通して寄せられており、多くの場合、送信者の特定は難しい。予告のたびに安全確認に大きな労力を費やさざるを得ない警察も、いら立ちを募らせつつある。
クレマン・ボーヌ(Clement Beaune)交通担当相は20日、「はっきり言っておきたい。こうしたいたずらに及ぶ者は、自分を賢いと思っているか、ちょっとした冗談のつもりだろうが、実際は大変な愚か者であり、その上紛れもない犯罪者だ」と警告した。(c)AFP/Joseph SOTINEL