ピンクダイヤの「秘密」解明 次なる産出候補地も 研究
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【10月7日 AFP】希少性と美しさから世界で最も高価な石の一つであるピンクダイヤモンドについて、これまで知られていなかったある「秘密」が分かった。研究成果が、先月の英オンライン科学誌ネイチャーコミュニケーションズ(Nature Communications)で発表された。
ピンクダイヤの90%以上は、近年閉鎖されたオーストラリア北西部の辺境にあるアーガイル(Argyle)鉱山で産出されている。しかし、大陸の中央付近にある多くのダイヤ鉱山ではなく、大陸の端の方にあるアーガイル鉱山でピンクダイヤが数多く見つかっている理由については、これまで謎のままだった。
論文は、豪州を拠点とする研究チームが発表した。チーム率いた豪カーティン大学(Curtin University)のヒューゴ・オリエルーク(Hugo Olierook)氏は、ピンクダイヤが産出されるための三つの要素のうち、二つは既に判明していたと話す。「炭素」と「適切な圧力」だ。
地球の深部に存在する炭素は地下150キロよりも浅い場所では黒鉛になり、また圧力が強過ぎれば透明なダイヤに損傷を与えてしまう。オリエルーク氏は「圧力が少し強すぎると、ピンクではなく茶色になる」と説明した。
■「シャンパンの栓のように」
三つ目の要素は、ダイヤを地球の表面に押し上げる噴火活動だった。
1980年代、アーガイルのダイヤは12億年前に出現したと推定されていた。しかし、その当時はピンクダイヤが地上に浮上するような出来事は確認されておらず、研究チームはより正確に時系列を確定させようと試みた。
研究では、人の髪の毛よりも細いレーザーを使用してアーガイルで産出されたサンプル内の微小な結晶を調べた。サンプルは鉱山の所有者である英豪鉱業大手リオ・ティント(Rio Tinto)から提供された。
そして結晶の構成物の年代を測定した結果、アーガイルのダイヤが13億年前のものであることが判明した。これまで考えられていたより1億年も前に地表に押し上げられていたことになる。
この年代は、ヌーナ(Nuna)またはコロンビア(Columbia)として知られる最初の超大陸が分裂した時期と一致する。これにより、ピンクダイヤが約13億年前に起きた最初の超大陸の分裂によって地表に運ばれていたことが分かった。
二つ目の要素であるダイヤに色を付けるための膨大な圧力は、今から18億年前に起きた西オーストラリアと北オーストラリアの衝突で既に生じている。そして衝突から5億年後に超大陸分裂が起き、亀裂として開いた「衝突部」をマグマが「シャンパンの栓が飛び出すよう」に上昇し、5億年前の圧力でつくられたピンクダイヤを地上付近に浮上させたのだとオリエルーク氏は説明した。