■電光石火の襲撃

 3月5日の放火事件を捉えた映像が、ソーシャルメディアに投稿された。MOCAF広報担当コンサルタントのベン・ウィルソン・ナガッサン氏は事件について、5分間に「30本前後」の火炎瓶が投げ込まれるという「計画的犯行で電光石火の襲撃」だったと語った。

 欧州の情報筋は、映像からは襲撃者がワグネルに属していることを示す明確な特徴がうかがえると指摘した。

 同筋によると、襲撃者は鍛え上げられた肉体を持ち、戦闘服を着用して、肩にはカラシニコフ銃がかけられていた。

 フランスは、トゥアデラ大統領がワグネルにダイヤモンドやその他の天然資源の利権を提供する見返りに、武装勢力との戦いでワグネルの支援を得ているのではないかとの疑いを持っている。

■西側事業を脅かす狙いか

 在バンギの外交官は、醸造所放火事件は、中央アフリカで西側の事業の継続を脅そうとする試みだと断じた。

 事件は、バンギの市場やバーに他社の「アフリカ・ティ・ロール(Africa Ti L’Or)」と呼ばれるビールの新銘柄が登場したタイミングと重なった。

 このビールの醸造元はファースト・インダストリアル・カンパニー(First Industrial Company)という企業で、その所有者は在バンギのロシア大使館に文化担当の専門職員として派遣されているドミトリー・シティ(Dmitry Syty)氏。同氏は、中央アフリカでのワグネルネットワークの重要人物の一人との情報もある。

 ソーシャルメディアや親ロメディアでは醸造所襲撃について、フランスがワグネルによる攻撃に見せかけるよう画策したものだという説が有力視されている。

 警察は3月9日、仏国籍保有の4人を含む外国人8人を拘束したが、全員が数時間後に釈放された。事件の捜査が進展している様子はない。(c)AFP/Barbara DEBOUT