中国の「万里の長城」はいったいどのくらいの長さなのか
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【1月17日 CNS】人類史上最も古く、最も巨大な建築である中国の「万里の長城(Great Wall of China)」はいったいどのくらいの長さがあるのだろうか。「長城は東の山海関から西の嘉峪関まで、総延長約6700キロ」という認識は、現在では再検討の必要がある。
中国長城研究院の院長で、東北大学(Northeastern University)の趙琛(Zhao Chen)教授はインタビューで、「長城の長さは再定義のプロセスに入っている。これまでの統計データが間違っていたわけではなく、時代の発展に伴い、我々の認識が変わり、長城の定義も変わった。それに伴い長城の計算方法や長さも変わってきた」と述べた。
「万里の長城」は、中国の歴史上、秦の長城、漢の長城、明の長城と3回に渡って形成されてきた。長城の長さを計算するには、歴代王朝が築いた長城のすべての長さは一つとして欠かすことができない。
従来は、城壁だけが長城だと考えられていたため、長年、長城の長さの計算は、城壁の長さだけの計測にのみ頼って行われてきた。大部分の測定数値も、城壁の長さを指している。しかし、戍堡(じゆほ)やのろし台も、完全な軍事防衛システムとしての長城の一部だということが無視されてきた。
特に、中国北西部に位置する長城は、甘粛省(Gansu)から、地形や気候の変化により、長城を最もよく表す城壁は徐々に少なくなっていった。陽関、玉門関から西の新疆ウイグル自治区(Xinjiang Uighur Autonomous Region)に入ると、次第に城壁は見えなくなり、水源に沿って作られた数多くののろし台と戍堡しかなくなっていった。それらは相互に補い合いながら配置され、古代シルクロードの北道、中道、南道の円滑な通行のための重要な軍事施設となっていった。
2019年12月、中国政府は「長城、大運河、長征国家文化公園建設計画」を発表した。この計画では、長城の概念を国家レベルで再定義し、のろし台、戍堡、宿場、関所、塹壕(ざんごう)、城壁、望楼(敵の動静などを探るための物見やぐら)および関連遺跡を総称して長城と呼ぶことを明らかにし、長城の意味合いを大きく豊かにしている。
周知のように、中国には陸上長城のほかに、河北省(Hebei)秦皇島市(Qinhuangdao)山海関区(Shanhaiguan)の老竜頭長城のような海上長城、また、真ん中に橋の下の空洞のようなに作られ、水の上を渡る水上長城もある。例えば、遼寧省(Liaoning)綏中県(Suizhong)の九江河にまたがる九門口水上長城や、山西省(Shanxi)朔州市(Shuozhou)の殺虎口水上長城などがある。
最新の長城の定義と史料を合わせると、中国の歴代王朝が築いた長城は5万キロ以上にのぼる。現代文献の歴代王朝の長城遺跡に関連する記載を参考にし、長城の長さは2万5000キロ以上と算出された。しかし、各省区市の記録の標準が異なるため、この数値は完全に正確なものではなく、あくまで予備的な参考値としてのみ利用できる。(c)CNS/JCM/AFPBB News