■より良いものを

 ストゥーリアのローラン・デュロー(Laurent Dulau)社長は、トレーサビリティー(生産履歴の追跡)と品質へのこだわりが、乱獲の危機に直面したキャビアのイメージ回復につながっていると述べた。

「生産量は少なくても、より良いものを作るということだ」とデュロー氏は説明した。「販売価格は上がるため、人々の口に入る量は減るだろうが、おいしいので満足してもらえるはずだ」

 ただ、同じくボルドー近郊で養殖キャビアを生産する「キャビア・ペルリータ(Caviar Perlita)」のミシェル・ベルトミエ氏は、フランス料理店は「10軒中9軒、むしろ10軒すべて」が中国産を仕入れていると不満をこぼした。中間業者が利幅の大きい中国産を選ぶからだと非難する。

「どのレストランも食材を地元で調達しているとうたう昨今、おかしな話だ。ここから10キロしか離れていないレストランに卸す量よりも、シンガポールへの輸出量のほうが多い」

 一方、フランス産キャビアの透明性はいずれ買い手を味方につけるだろうともベルトミエ氏は述べた。

「チョウザメの養殖過程はずっと謎に包まれていた。私たちは生育の様子や餌やり、選別の方法などを公表している。生産量ではナンバーワンになれないが、創造性と科学で先を行くことはできる」 (c)AFP/Eric RANDOLPH