【1月2日 AFP】フランスのレストラン格付け本「ミシュランガイド(Michelin Guide)」で星を獲得したレストランで出されるキャビアは、意外な国で生産されたものかもしれない――中国だ。

 食品スキャンダルが相次いでいる中国だが、世界最大のキャビア生産国の一つとなっており、中国産キャビアは世界の専門家から高い評価を得ている。

 中国産キャビアの大半は、浙江(Zhejiang)省東部の山あいにある風光明媚(めいび)な千島湖(Qiandao Laike)で養殖された、業界大手「カルーガクイーン(Kaluga Queen)」のものだ。同社は農業農村省出身の専門家らによって2005年に設立された企業で、現在世界市場の3分の1以上を同社のキャビアが占めている。

 カルーガクイーンのチョウザメ養殖場は、千島湖岸から船で20分ほど行ったところにある。チョウザメの寿命は7~15年で、大きいもので全長4メートル、体重300キロになる。

■カスピ海ではチョウザメが絶滅の危機に

 キャビアは長年、イランとロシアがカスピ海(Caspian Sea)で漁獲した野生のチョウザメの卵が主流だった。だが、チョウザメの漁獲量を規制していたソビエト連邦が1991年に崩壊すると乱獲や密輸が横行し、チョウザメは絶滅の危機に陥った。2008年にカスピ海でのチョウザメ漁が禁止されると、世界各地に養殖場がつくられ、今ではイタリア、フランス、中国が主要生産国となっている。

 従業員300人のカルーガクイーンは約20万匹のチョウザメを養殖しており、昨年のキャビア生産量は86トンに上った。大部分は輸出されていて、うち欧州連合(EU)が50%、米国が20%、ロシアが10%を占めている。価格はチョウザメの種によって異なるが、1キロ当たり1万~18万元(約16万~280万円)に上る。高い種類だと1匹から200万元(約3100万円)相当のキャビアがとれることもあるという。