【11月5日 AFP】米中間選挙が8日に迫る中、有権者の関心は揺れ動いており、争点は読みにくくなっている。

 民主党はここ数か月の間、一部有権者の投票権の制限や人工妊娠中絶の権利の制限に向けた動きについて、民主・共和両党間の駆け引きにとどまらず、自由と民主主義を根本から揺るがす脅威だとの主張を展開。対する共和党は、インフレ率の高止まりや暴力犯罪の急増、長引く移民危機を背景に、経済、法、秩序といった伝統的な課題に争点を引き戻そうとしている。

 主な争点をまとめた。

■経済

 食料品やガソリンの価格が高騰し、景気後退が懸念される中、ほぼすべての世論調査で有権者が最重要課題として挙げているのが経済だ。

 9月の米消費者物価指数(CPI)は前年同月比で8.2%上昇と、依然高水準。インフレ高進は世界的な課題だが、共和党は、民主党政権の大規模な財政出動が物価上昇を加速させたと非難している。

 モンマス大学(Monmouth University)の世論調査では、インフレ対策を中間選挙の争点と見なす割合は9月は37%だったのに対し、10月は46%に拡大した。

 ハーバード大学(Harvard University)米政治研究センター(CAPS)などが有権者約2000人を対象に実施した調査では、インフレ対策で判断した場合、共和党に投票する公算が大きいと答えた人は48%だったのに対し、民主党との回答は36%にとどまった。

■犯罪

「法と秩序」を旗印にしてきた共和党は、2020年に全米に広がった黒人差別反対運動「Black Lives Matter(黒人の命は大切)」の抗議デモで暴力や破壊行為が起きて以降は、犯罪対策をめぐり民主党を激しく攻撃してきた。

 連邦捜査局(FBI)のデータによると、凶悪犯罪は全体的に急増している。全米の発生件数は2020年に64万836件だったのが、21年には27.5%増の81万7020件となった。

 上院選で接戦が予想されるペンシルベニア州では、共和党候補のメフメト・オズ(Mehmet Oz)氏が、民主党の対立候補ジョン・フェッターマン(John Fetterman)氏を標的に、「犯罪対策に弱腰」だとネガティブキャンペーンを張っている。ネバダ、ウィスコンシンなどの激戦州でも、共和党は同様の戦術を展開している。