■民主主義

 米紙ニューヨーク・タイムズ(New York Times)などが実施した最新の世論調査によれば、民主主義が脅かされているとの強い危機感を有権者のほぼ4分の3が抱いている。ただ、問題の捉え方はメディアとは異なっている。

 ドナルド・トランプ(Donald Trump)前大統領の数々の不正疑惑や、昨年1月の連邦議会襲撃、2020年大統領選での敗北を否定するトランプ氏に同調する動きなどを盛んに報じているのがメディア。有権者の関心は、公務員の汚職など公的機関の腐敗に向けられている。

 実際、連邦議会襲撃とトランプ氏の責任を調査している下院委員会の活動は広く支持されているが、同氏の支持率への影響は認められない。

■移民

 メキシコから米国側に国境を越えてくる移民の数は2021年度に過去最高を記録したが、22年度はそれを更新した。今年6月には、テキサス州で道路脇に止められたトレーラーの中から50人以上の移民の遺体が見つかる事件もあった。

 移民流入に拍車を掛けているのが、ホンジュラス、グアテマラ、エルサルバドルなどでの経済危機、犯罪、自然災害だ。共和党は、こうした国からの移民が、米国内の麻薬問題の元凶になっていると主張している。

 移民問題は有権者の関心事の中で、インフレ、犯罪、民主主義への脅威に次いで4番目に挙げられることが多い。

 モンマス大学の9月の世論調査では、バイデン政権による移民政策を「支持する」との回答は31%にとどまり、「支持しない」の63%を大幅に下回った。