【10月2日 AFP】先月死去した英国のエリザベス女王(Queen Elizabeth II)をたたえる言葉があふれる中、国内の黒人社会からは「女王は私たちのために何をしてくれたのか」と問う声が多く上がった。

 英国の植民地時代の負の遺産に対する批判はいまだにあり、この問いは、チャールズ国王(King Charles III)にとって早くも試練となった。

 チャールズ国王は、本国以外に英連邦(Commonwealth)14か国の君主にもなった。その中には遠くカリブ海(Caribbean Sea)で英国の奴隷貿易によって搾取された国々も含まれる。

 女王死去の翌日、英バーミンガム大学(University of Birmingham)のケヒンデ・アンドリュース(Kehinde Andrews)教授(黒人研究)はニュースサイト「ポリティコ(Politico)」への投稿で、国を挙げての喪失感を自分は共有できないと主張。「大英帝国の子どもたち、ここで生まれた人たち、英連邦15か国に生まれた人たち」にとって、女王は白人至上主義の象徴の頂点だと評した。

「女王は制度の一つと見なされてきたのかもしれないが、私たちにとっては日々遭遇することを避けられない制度的人種差別(レイシズム)を体現した存在だった」

 人種差別の問題は「Black Lives Matter(黒人の命は大切)」運動で活発化し、奴隷制度に関わった歴史的人物の像の取り壊しを求める声も各地で上がった。

 英王室もやり玉に挙げられた。2020年に王室を離脱したヘンリー王子(Prince Harry)とアフリカ系米国人の母を持つ妻メーガン妃(Meghan, Duchess of Sussex)から、人種差別を受けたとして非難された時だ。

 女王は調査を約束したが、兄のウィリアム皇太子(Prince William)は会見で「私たちは人種差別をするような家族では決してない」と真っ向から否定した。