【6月12日 AFP】英国の共和制支持者は、在位70年を迎えたエリザベス女王(Queen Elizabeth II、96)が最後の女王となることを望んでいる。だが専門家らは、時代とともに進化すれば王室は今後も生き残るだろうと予想する。

 英国の立憲君主制廃止を求める市民団体「リパブリック(Republic)」の代表グレアム・スミス(Graham Smith)氏は「女王の在位中に王室が廃止されるとは考えていません」と語る。

 だが、「現女王のような国民的支持を得ることは、今後の王室では難しいでしょう」とスミス氏。女王の長男のチャールズ皇太子(Prince Charles、73)が即位すれば「王室廃止というわれわれの願いはかなうことになるでしょう」と続けた。

 皇太子は必ずしも女王のように好感を持たれていないとスミス氏は指摘した上で、君主制は納税者に多額の負担がかかる「非民主的、反民主的でエリート主義」の制度だと厳しく非難した。

■ウィリアム王子即位の可能性?

 世論調査によると、若者の間では君主制の人気はそれほど高くない。若い世代は伝統への愛着があまりなく、その一方で反植民地的な闘争には敏感だ。

 スミス氏はこうした傾向は今後も続くとみている。

 独立系シンクタンク「ブリティッシュ・フューチャー(British Future)」によると、国民の58%が君主制を支持する一方、エリザベス女王の退位後に共和制を求める国民は25%だ。だが若者世代では、君主制支持40%、共和制支持37%とその差はだいぶ狭まる。

 英ロンドン大学ユニバーシティー・カレッジ(University College London)の政府・憲法学の教授、ロバート・ヘーゼル(Robert Hazell)氏は「女王の死去に際しては、非常に大きな転換点を迎えることになる」と語る。

 また、若くして即位したエリザベス女王と現在73歳のチャールズ皇太子を比較し、「一部タブロイド紙がウィリアム王子(Prince William、39)の王位継承を求めて国民的運動を巻き起こすかもしれない」と語った。

 広報の専門家マーク・ボルコフスキー(Mark Borkowski)氏は「(今後の)君主制がどうなるかは誰にも分からないが、女王が存命の今とは異なるものになることは確かだ」と言う。

 国民の支持を維持するには、これまでとはまったく違う世界に王室が順応していく必要がある。「王室の変化を(人々に)感じさせる必要があります。1997年のダイアナ元妃死去の際に一定見られたように」