【8月4日 AFP】米中西部カンザス州で2日、人工妊娠中絶の禁止を可能にする州憲法改正案の是非を問う住民投票が行われ、反対多数で否決された。野党・共和党の牙城である州での予想外の投票結果を受け、11月の中間選挙を控えた米政界には激震が走り、与党・民主党がこれまで予想されていた大敗を避けられるのではとの期待が高まっている。

 住民投票にかけられたのは、州憲法から中絶の権利を保障する条項を削除する案。投票率は異例の高さとなり、同案は反対59%、賛成41%で否決された。

 米国では6月、中絶を憲法上の権利と認めた1973年の「ロー対ウェイド(Roe v. Wade)判決」が、保守派判事が多数を占める連邦最高裁判所により覆された。その後、中絶問題をめぐる住民投票を実施したのはカンザス州が初めてだったことから、民主党は投票結果を歓迎。最高裁の決定に対する反発は始まったばかりだとみている。

 同党のクレア・マカスキル(Claire McCaskill)元上院議員はMSNBCに対し、「これは民主党の全候補者にとって大きな合図となるはずだ」と語った。

 ジョー・バイデン(Joe Biden)大統領の任期後半2年の議会多数党が決まる11月の中間選挙では、現在かろうじて過半数の議席を維持する民主党への逆風が予想されている。民主党は、40年ぶりの高インフレへの反発と、新型コロナウイルス流行の影響についての悲観的見方の広がりを背景に、下院の主導権を失う見通しで、さらに上院も失う可能性がある。(c)AFP/Sebastian Smith