【7月14日 AFP】米オハイオ州で10歳の女児がレイプされて妊娠したが、同州では人工妊娠中絶がほぼ全面的に禁じられているため、隣のインディアナ州にまで手術を受けに行かねばならなかった。地元メディアが13日、報じた。

 オハイオ州は先月、米連邦最高裁判所が女性の人工妊娠中絶を憲法上の権利と認めた1973年の「ロー対ウェイド(Roe v. Wade)判決」を覆す判断を下したことを受け、妊娠6週以降の中絶を禁止する州法を施行した。レイプや近親相姦(そうかん)による妊娠でも例外は認められない。

 この衝撃的な出来事の信ぴょう性には、保守系メディアやオハイオ州の司法長官が疑問を投げかけていた。

 しかし、地元紙コロンバス・ディスパッチ(Columbus Dispatch)によると、オハイオ州コロンバス(Columbus)警察のジェフリー・ハーン(Jeffrey Huhn)捜査官は13日、女児が6月30日にインディアナ州の州都インディアナポリス(Indianapolis)で中絶手術を受けたと法廷で証言した。

 ハーン氏の証言は、この女児をレイプしたと自白した27歳の男の罪状認否でのもの。女児が中絶手術を受けたクリニックから入手したDNAサンプルと、男のDNAの照合が行われているという。

 オハイオ州フランクリン(Franklin)郡の裁判文書によれば、13歳未満の子どもをレイプした罪に問われているガーソン・フエンテス(Gerson Fuentes)被告の罪状認否が13日に行われた。

 ジョー・バイデン(Joe Biden)大統領は8日、中絶を望む女性を支援することを目的とした大統領令に署名した際、「先週、オハイオ州で10歳の女児がレイプされたと報じられたばかりだ。女児は中絶手術を受けるため、州境を越えてインディアナ州に行かなければならなかった」と述べた。

 さらに、女児は妊娠6週だったと補足し、「女児の身になって考えてほしい」と訴えた。(c)AFP