中世の城塞、ISのとりでから観光地へと復活 シリア
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【7月16日 AFP】シリアでイスラム過激派組織「イスラム国(IS)」が攻撃に使用した、湖に浮かぶ中世の城塞(じょうさい)が、市民の観光スポットとしての地位を徐々に回復しつつある。
北部ラッカ(Raqa)県にある人造貯水池アサド(Lake Assad)湖には、イスラム王朝時代の史跡カラート・ジャーバル(Qalaat Jaabar)がそびえる。ここ数年の治安の改善に伴い、全国から訪れる観光客が増えている。
この城塞はセルジューク(Seljuk)およびマムルーク(Mamluk)朝時代にさかのぼるもので、シリアで極めて重要な砦(とりで)跡の一つとされている。
1974年、ユーフラテス川(Euphrates River)に建設されたタブカ(Tabqa)ダムの完成でアサド湖ができ、カラート・ジャーバルは島となった。陸側とは細い道路で結ばれている。
島内には35本の橋が架かり、モスクも1か所ある。かつては博物館もあり、工芸品を所蔵していたが、ISによって略奪された。
■ボート遊びとピクニック
カラート・ジャーバルから約50キロ離れたラッカ市は、ISが2014年に樹立を宣言した「カリフ制国家」の事実上の首都だった。
IS最大のシリア人刑務所を丘の上から見下ろす城塞は、ISが攻撃を実施し、監獄周辺の動きを監視する戦略的地点だった。
だが2017年、米国が支援するクルド人部隊がISから城塞を奪還した。
安全上の理由から仮名で取材に応じたラッカ市の住民モハンマドさん(45)は、ISは城塞のふもとで「塹壕(ざんごう)を掘り、子どもの兵士を訓練していました」と語った。
「軍事地区として住民の訪問は禁止されていました。(中略)でも今は元通りになっています」
カラート・ジャーバルはアサド湖のボート乗りや砂浜でのピクニックを楽しむスポットとして、家族連れの間で人気が復活しつつある。(c)AFP/Delil Souleiman