【5月10日 CNS】「満漢全席」は国粋といわれ、中国料理のトップの代表として日本でも広く知られている。満漢全席とは、清代に行われた宮宴の宮廷料理で、満州人と漢人が席を合わせて行う全席宴だ。満漢全席には最低108品(南方系料理54品、北方系料理54品)が出され、3日に分けて食べ終える。満漢全席の宴は塩辛いものもあれば、甘いものもある。肉料理もあれば、野菜料理もある。食材が緻密で、種類も多く、山海の珍味であふれている。

 満漢全席は宮廷料理の特徴と現地の味のエッセンスを併せ持っている。満洲族料理と漢族料理の特別な味を強調し、焼き肉や、鍋、しゃぶしゃぶ料理はほとんど欠かせない料理で、漢族料理のとろ火で煮込む、揚げる、炒める、あんかけ、あぶるなどを兼ね備えた特徴があり、まさに中国料理文化の宝と最高峰といえる料理だ。

 中国料理協会の首席顧問で、中国特一級料理研究家の劉敬賢(Liu Jingxian)氏はインタビューで、「満漢全席」は遼寧省(Liaoning)の満洲族の先人の伝統的な食習慣に起源があり、300余年の革新的な発展を経て、宮廷の満洲料理と南方の漢族料理のエッセンスが融合して形成されたと述べた。

 清代の乾隆帝の時代には、満官が宴会で漢官に漢族料理を振るまい、漢官が満官に満州族料理を振るまい、また乾隆帝自身の南方も北方も好きな食習慣と支配的地位を固めるための「満漢一体」の主張が、満州族料理と漢族料理が融合して「満漢宴」となった。乾隆時代の旅行家・戯曲家の李斗(Li Dou)氏が著した「揚州画舫録」の中、「満漢全席」のメニューが記されている。これは「満漢全席」に関する最初の記録だ。

 料理の種類の豊富さは中国料理技術が成熟した重要な証で、古代の料理を集大成した「満漢全席」は最も良い証だ。

「満漢全席」の食材は、緻密で、種類が多く、料理は宮廷の特色もあれば、地方の味もある。緻密な料理とこだわった儀礼は、独特のスタイルを形成した。代表的なものは、山八珍(8種類の希少で貴重な調理材料)、海八珍、鳥八珍、草八珍の「四八珍(4組の八珍の宴)」だ。大きく分けると、モンゴル親藩宴(皇室と婚姻関係を結んだモンゴルの親族を招待する宴)、廷臣宴(廷臣を招待する宴)、万寿宴(天子の生誕を祝う宴)、千叟宴(千人の老人招待する宴)、九白宴(供え物<白いラクダ1頭と白い馬8頭>を捧げた使臣を招待する宴)、節令宴(祝祭日や季節によって設けた宴)となる。

「満漢全席」で出される料理は、108品が一般的だが、168、198品の場合もある。客は音楽とともに宴会場に入り、まず座って軽食を食べる。客がそろった後、四鮮果(ブドウ、マクワウリ、柿なつめ、スイカの4つの生鮮果物)を下げ、乾杯の挨拶を行ってから、メインディッシュを出す。全過程でテーブルの上の食べ物を計4回変える、俗に言う「翻卓」を行う。食事をする際、まず満州族料理を食べて、次に漢族料理を食べるのが普通だが、その時のテーブルに並ぶ食べ物を入れ替えることを「翻台」と言う。

「満漢全席」の精神の核は、料理人の技術に対するたゆまぬ追求、料理の色、香り、味に対する究極の彫磨と中国の食文化に対する高い信頼感であり、これは「満漢全席」が世界でよく知られている魅力の所以でもある。(c)CNS/JCM/AFPBB News