【5月9日 CNS】中国国家文物局は「2021年中国考古学界の十大新発見」を発表した。旧石器時代の四川省(Sichuan)稲城県(Daocheng)の皮洛遺跡、新石器時代の河南省(Henan)南陽市(Nanyang)の黄山遺跡、湖南省(Hunan)澧県(Li)の鶏叫城遺跡、山東省(Shandong)滕州市(Tengzhou)の崗上遺跡、長江(揚子江、Yangtze River)文明の四川省広漢市(Guanghan)の三星堆遺跡祭祀エリア、湖北省(Hubei)雲夢県(Yunmeng)の鄭家湖墓地、漢代の陕西省(Shaanxi)西安市(Xi’an)の江村大墓、唐代の甘粛省(Gansu)武威市(Wuwei)の吐谷渾王族墓所群、新疆ウイグル自治区(Xinjiang Uygur Autonomous Region)尉犁県(Yuli)の克亜克庫都克烽燧(ほうすい)遺跡、明代の安徽省(Anhui)鳳陽県(Fengyang)の明中都遺跡が選ばれた。

 十大新発見に選ばれることは大きな影響力があり、学界の間でその選定は「神仙の世界の戦い」とも呼ばれる。最終的に選ばれた十大新発見は13万年の歳月にわたり、人類の起源や中国文明の形成、発展の研究のため大きな意義を持っている。

 例えば、3000年前の黄金仮面が見つかっている四川省の三星堆遺跡では昨年、新たな黄金仮面や青銅祭壇が見つかった。中国社会科学院考古学研究所の陳星燦(Chen Xingcan)所長は「三星堆遺跡が今に伝える古代蜀文明は、中国文明の重要な構成要素だ」と強調する。西安市の江村大墓では前漢・文帝の正確な墓の位置が分かったことで、前漢における皇帝の霊廟の形成や変化に関する詳細な研究が可能になった。中国考古学会の王巍(Wang Wei)理事長は「過去10年間の霊廟研究で最大の進歩となる」と意義を語る。

 2021年は中国で考古学が成立して100年。その節目に次々と大きな業績があった。十大新発見以外でも、6000年前の石刻のカイコが見つかった山西省(Shanxi)の夏県(Xia)の師村遺跡など重要な成果があった。

 中国人民大学(Renmin University of China)歴史学部の陳勝前(Chen Shengqian)教授は「近年の中国考古学の発展は、2つの面から恩恵を受けている」と指摘する。

 1つ目は年代測定やDNA鑑定などの科学技術の進歩だ。科学の進歩により、植物考古学、動物考古学、骨格考古学など多くの研究分野が枝分かれして誕生している。

 2つ目は、中国と外国との考古学の交流だ。海外の考古学を知ることは、中国文明の特徴を把握することにつながる。特に日本の考古学界との交流は1950年代に始まっている。1957年に日本の考古学代表団が中国を訪れ、20年近く、漢代の都・長安の城桂宮(Chenggui)遺跡や新疆ウイグル自治区の民豊尼雅(Minfengniya)遺跡などの発掘調査に協力してきた。 中国社会科学院考古学研究所の元副所長で山東大学教授の白雲翔(Bai Yunxiang)氏は「日中の考古学交流は重要な役割を果たしている」と強調。日中友好を促進するとともに、中国の学者がグローバル化することに貢献したとみている。(c)CNS/JCM/AFPBB News