【5月15日 AFP】羽根の付いた頭飾りと伝統衣装を身につけ、片手にはiPhone(アイフォーン)──ブラジル・アマゾン(Amazon)の先住民サテレマウェ(Satere-Mawe)のインフルエンサー、サメラ・アウィア(Samela Awia)さん(25)は、最新動画を確認するとインターネットに投稿した。

 アウィアさんら複数の先住民グループ数千人は4月上旬、極右ジャイル・ボルソナロ(Jair Bolsonaro)大統領の政策に抗議し、首都ブラジリア付近で座り込みを行った。

 アウィアさんは、先住民が毎年行っている座り込みの様子を現地から動画で伝えている。「こんにちは、サメラが先住民キャンプからお届けしています」。ココナツの殻が付いたかぎ針編みのビスチェとカラフルなビーズと青い花をまとったアウィアさんが、5万4000人のフォロワーに語りかける。

「アマゾンの首都」として知られるアマゾナス(Amazonas)州マナウス(Manaus)出身のアウィアさんは、ネットで活躍するデジタル活動家だ。

 先住民の座り込みは今年、新たな先住民保護区の設置を制限し、既存保護区での採掘を可能にする法案など、ボルソナロ氏の一連の政策を一般市民に訴えることに焦点を当てた。これらの政策が、先住民と環境に壊滅的な影響をもたらすとの批判もある。

 若い先住民インフルエンサーたちは座り込みに加え、ネットでの活動にも力を入れている。

■「iPhoneインディアンズ」

 ブラジルには約90万人の先住民が暮らしている。人口の0.5%にすぎないが、環境保護において非常に大きな役割を果たしている。

 専門家は、先住民保護区の設置と維持が、気候変動を抑える上で主要な資源となる世界の森林を保全する最良の方法の一つだと指摘する。

 ブラジルの先住民は、集団殺害や虐待の犠牲者となってきた。現在も暴力や差別、権利侵害に直面している。

 先住民インフルエンサーは、先住民に対する偏見との闘いが自分の役割の一つだと考えている。

 トゥクマ・パタショ(Tukuma Pataxo)さん(22)は、「先住民にしては現代的すぎないか」とよく質問される。パタショさんは最近、これに答える動画を投稿した。

 パタショさんたちインフルエンサーは、「iPhoneインディアンズ」とやゆされることもある。これに対し「私たちは過去のままでなければいけないのか」と問いかける。

 17万2000人のフォロワーを抱えるパタショさんは、北東部の州の名前にもなっている先住民族「バイア(Bahia)」に所属する。先住民の座り込みキャンプでは有名で、デモ参加者から呼び止められ、写真撮影を請われることも多い。

 パタショさんは「若者は(先住民の)闘争において非常に重要だ。われわれの祖先は数年前から、自分たちの土地を守るために闘う方法の一つとして、ブラジリアに来るようになった。来てどうするのか、何をするのかさえも決めていなかったが、とにかくやって来た」と話す。

「私たちは今や、テクノロジーによってまったく新しいプラットフォームを手にした。全世界に私たちの闘いを知らしめることができる」 (c)AFP/Valeria PACHECO / Marcelo SILVA