【4月27日 AFP】テニス、四大大会(グランドスラム)のウィンブルドン選手権(The Championships Wimbledon)がロシアとベラルーシの選手の出場を禁止したことについて、主催団体のトップが26日、「ロシア政権によるプロパガンダの道具として利用される」のを避けるためだと説明した。

 大会を主催するオールイングランド・ローンテニス・アンド・クローケー・クラブ(AELTC)は20日、ロシアによるウクライナ侵攻を受け、ダニール・メドベージェフ(Daniil Medvedev)やアンドレイ・ルブレフ(Andrey Rublev)、アリーナ・サバレンカ(Aryna Sabalenka)、ビクトリア・アザレンカ(Victoria Azarenka)といったスターを含めたロシアとベラルーシの選手の出場禁止を決めた。

 この決定は、ツアーを運営する男子プロテニス協会(ATP)と女子テニス協会(WTA)の批判に遭い、ルブレフは「完全な差別」と反発。男子シングルス前回王者のノバク・ジョコビッチ(Novak Djokovic、セルビア)も「クレイジー」だと話した。

 しかしAELTCのイアン・ヒューイット(Ian Hewitt)会長は、今回の措置の正当性を主張し、ロシアの影響力を抑える目的で英政府が出しているスポーツ団体向けの指針も考慮しながら、熟慮の末に決めたことだと話した。

 ヒューイット会長は、ウィンブルドンの年次記者会見で、「実質的には二つの選択肢がある。エントリーを拒否するか、それとも(ウクライナ侵攻への反対を)書面で具体的に宣言した選手のみ、エントリーを認めるか」と話し、次のように続けた。

「まず、宣言したロシアとベラルーシの選手のエントリーを受け付けたとして、彼らのウィンブルドンへの参加や大会での成功が、ロシア政権によるプロパガンダの道具として利用されるおそれがある。これは受け入れられないことだ」

「またわれわれには、自分たちの行動が原因で、選手やその家族に危険が及ぶことがないようにする責任がある。今回の決定が、影響を受ける者たちに与えるインパクトは理解しているし、とても残念に思っているが、無数の無実の人々が、今回の恐ろしい戦争で苦しんでいる」

「われわれは、現状で最も責任ある決断を下したと信じているし、政府の立ち位置という枠組みの中、今回の極めて異例かつ悲劇的な状況で、他に取れる選択肢はなかったとも思っている」 (c)AFP