【4月22日 AFP】男子テニス、ロシアの世界ランキング8位アンドレイ・ルブレフ(Andrey Rublev)は21日、母国とベラルーシの選手を除外したウィンブルドン選手権(The Championships Wimbledon)の判断は「完全な差別」であると批判した。ベラルーシの関係者もこの決定は「憎悪をあおる」だけと主張し、処分撤回を求めて提訴する構えをみせた。

 現在セルビア・オープン(Serbia Open 2022)に出場しているルブレフは、「彼ら(ウィンブルドン)のわれわれへの説明は、分別がなく筋も通っていなかった」とし、「今起きていることは、われわれに対する完全な差別だ」と訴えた。

 ウインブルドン側は20日、ウクライナ侵攻への制裁措置として今年の大会でロシアとベラルーシの選手全員を出場禁止にすると発表した。

 これにより、男子ではルブレフと世界2位の同胞ダニール・メドベージェフ(Daniil Medvedev)、女子ではベラルーシの世界4位アリーナ・サバレンカ(Aryna Sabalenka)ら強豪選手が、今年6月27日から7月10日まで開催されるウィンブルドンに出場できなくなった。

 2月のドバイ選手権(Dubai Duty Free Tennis Championships 2022)で、テレビカメラのレンズに「戦争はやめて」とメッセージを書いていたルブレフは、「ロシアとベラルーシの選手を出場禁止にしても何も変わらない」と話し、昨年は総額3500万ポンド(約58億6000万円)に上ったウィンブルドンの賞金を活用する方がよほど効果的との認識を示した。

「被害を受けている家族や子どもたちへの人道支援として、賞金全額を寄付する方がためになると思う」

「こういう場合、これほどの額を寄付できるのはテニスが筆頭で唯一の競技だ。それがウィンブルドンであり、それでこそ全ての栄光に輝けるはずだ」

 2019年のウィンブルドン女子シングルスで4強入りを果たすなど、元世界3位の実力者であるウクライナのエリナ・スビトリーナ(Elina Svitolina)は、侵攻反対を表明しているロシアとベラルーシの選手については同大会への出場を「認められるべきだ」と主張しており、英BBCに対して、「私たちは彼ら全員の出場禁止は望んでいない」と話していた。 

 一方、ベラルーシテニス連盟(BTF)は英国政府の関係者を「無能で無知」だと批判し、「このような暴挙は紛争の解決には全くつながらず、国家レベルで憎悪や不寛容をあおるだけだ」と反発した。(c)AFP