ウクライナで作付け開始、燃料不足で世界の食料供給に懸念
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【4月1日 AFP】ウクライナ南西部に果てしなく広がる畑。農家がヒマワリの種まきを始めている。農業大国のウクライナは世界中に輸出をしてきたが、今年はロシアによる侵攻の影響で農業機械の燃料が不足し、生産が脅かされている。
ウクライナはヒマワリ油の世界最大の生産国で、小麦の主要輸出国でもある。世界の食料安全保障は、同国の農家にかかっている。
アレクサンドル・ペトコフ(Alexander Petkov)さん(47)は、ルーマニア国境に近いバハテ(Bahate)の肥沃(ひよく)な土地で大規模農場を経営している。この一帯はロシア軍の攻撃はまぬかれている。
バハテより東に位置するヘルソン(Kherson)やミコライウ(Mykolaiv)など激しい攻撃を受けている地域では、作付けを始められずにいる。
五つの村にまたがるペトコフさんの農場では昨年、大麦3トン、小麦2万7000トン、ヒマワリの種5500トンを収穫した。
どこにも持ち出せないヒマワリの種や小麦が納屋に山積みになっている。「ロシアの軍艦が黒海(Black Sea)におり、すべての港が閉鎖されている」
種まきに必要な農業機械の燃料が底をついてしまうことも心配している。「侵攻前からあった燃料を使っているが残り少なくなっている。新しく供給されることもない」と語った。あと5日ほどでなくなるかもしれないという。
国連食糧農業機関(FAO)が先週公開した報告書によると、ウクライナは燃料の大部分を輸入に依存しており、ガソリン・軽油の輸入の約7割をロシアとベラルーシからのものが占めている。
FAOはまた、ウクライナ政府が3月中旬に行った調査で、今春の作付けに必要な燃料の蓄えがあるのは、大規模農家約1300軒のうち2割にとどまっていると指摘した。殺虫剤や肥料の不足も懸念されている。