【4月1日 AFP】ウクライナのミコラ・ソリスキー(Mykola Solsky)農業食料相は3月30日、AFPとの書面インタビューで、ロシアによる侵攻の影響により、ウクライナの穀物生産量が半減する恐れがあるとの見通しを示した。農作地への攻撃、農業従事者の従軍による人手不足、サプライチェーン(供給網)の破壊を理由に挙げた。

 欧州の穀倉地帯として知られるウクライナの昨年の穀物生産量は、過去最多となる1億600万トンだった。ソリスキー氏は、今年の生産量は25~50%落ち込む可能性があるが、「この数字は楽観的なものだ」と指摘した。

 同氏は、作付け可能な畑の面積が例年の50~75%にとどまると推定している。

 国民防衛隊に参加する農業従事者も多く、人手不足も起きている。ソリスキー氏によると、農業食料省は現在、農業従事者の徴兵を一時的に免除する制度の導入を進めている。

 種や肥料、殺虫剤、農業機械用の燃料も限られており、農家はそれぞれの在庫に合わせ、作付けを行う予定だ。

 ロシア軍は最近になり、これまで比較的攻撃を受けていなかった西部の複数の大規模燃料貯蔵施設を爆撃した。ソリスキー氏は、種まきの季節の始まりを狙ったものだと非難している。

 国連安全保障理事会(UN Security Council)の3月29日の公開会合では、ロシアによる侵攻で世界が食糧危機にさらされたとの非難の声が相次いだ。特に北アフリカと中東が深刻な影響を受けると懸念されている。

 ウクライナは侵攻前、月450万トンの農作物を海路で輸出していた。しかし、ロシアが海路を事実上封鎖したため、「基本的に輸出は停止している」とソリスキー氏は言う。

「ロシア軍は港を爆撃し、海路に機雷を設置した」「われわれが勝利した後、復興するには何年もかかる」と指摘。鉄道による輸送強化も検討していると説明した。(c)AFP