【4月2日 AFP】冥王星には、太陽系内でこれまで観測されたことのない波状の奇妙な地形があり、これは巨大な氷火山群が比較的最近まで活動していたことを示すものだとする研究論文が3月29日、発表された。

 英科学誌ネイチャー・コミュニケーションズ(Nature Communications)に発表された最新の研究論文によると、米航空宇宙局(NASA)の無人探査機「ニュー・ホライズンズ(New Horizons)」が撮影した画像の分析によって得られた観測結果は、冥王星の内部が従来考えられていたよりも、かなり後の時代まで高温だったことを示唆している。

 論文を執筆した米サウスウェスト研究所(Southwest Research Institute)の惑星科学者、ケルシ・シンガー(Kelsi Singer)氏によると、氷火山からは溶岩ではなく、「どろどろとした雪解けのような氷水、あるいは氷河のような固体流さえもが」流れ出るという。

 シンガー氏はAFPの取材に、氷火山は太陽系内の複数の氷衛星に存在すると考えられているが、冥王星の氷火山は「これまでに観測されている他のいかなる氷火山とも全く違って見える」と語る。「この地形は冥王星上で唯一、非常に大規模な氷火山が連なる広大な領域にあり、波打つような独特の起伏がある」

 また、この氷火山群の形成時期を正確に特定するのは困難だが、「数億年前程度か、あるいはもっと若いかもしれないと考えている」と述べ、冥王星の大半の地域とは異なり、氷火山地帯には衝突クレーターがない。これは一帯が「今日もまだ形成過程にあるとする説を排除できない」ことを意味すると説明した。

 NASAのゴダード宇宙飛行センター(Goddard Space Flight Center)で氷火山を専門とする惑星科学者のリニー・クイック(Lynnae Quick)氏は、今回の研究結果について「極めて重要だ」と評価している。

「大分前に内部熱の大半を失っているはずの冥王星のような小天体が、その歴史のかなり後の方まで、広範囲に及ぶ地質学的活動を促進するに足るエネルギーを保持できたことを、今回の結果は示唆している」とクイック氏はAFPに語った。

「今回の発見は、太陽から遠く離れた小さな氷天体で、液体の水が維持されている可能性を再評価するきっかけとなるに違いない」 (c)AFP/Daniel Lawler