検閲、男性中心社会、原告に不利な司法…中国の「#MeToo」運動の壁
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【11月24日 AFP】中国でも広がっているセクシュアルハラスメント(性的嫌がらせ)告発運動「#MeToo(私も)」が、つまずきを見せている。インターネットに投稿しても検閲ですぐに削除され、男性中心社会や原告に大きな負担を強いる司法制度も立ちはだかっている。
中国テニス界のスター選手、彭帥(Peng Shuai)さん(35)が今月、張高麗(Zhang Gaoli)前副首相から性的関係を強要されたと衝撃的な告発をした。こうした告発が中国共産党の上層部に向けられたのは初めてだった。
だが、彭さんの訴えはすぐに中国のネット上から削除された。
世界中に広がった「#MeToo」運動が中国でも2018年に芽生えると、大学教授から受けた性的被害を明らかにする女性が相次いだ。
すると当局は、運動が大きく発展し制御できなくなることを恐れ、直ちにソーシャルメディア上で関連するハッシュタグやキーワードを検閲対象とした。「#MeToo」というフレーズは、今でも中国では検索できない。
著名なフェミニストが警察に嫌がらせを受けたり、勾留されたりするケースも多い。国際ジャーナリスト組織「国境なき記者団(RSF)」によると、活動家の黄雪琴(Sophia Huang Xueqin)氏もその一人。今年9月、「国家転覆を扇動」したとして拘束された。
習近平(Xi Jinping)国家主席は、女性は「社会の発展と進歩を促す重要な力」とうたうが、党の指導部は男性中心で、トップ25人の中央政治局委員のうち女性は1人しかいない。