【8月30日 AFP】イスラエルで、16歳の少女に対して男ら約30人が列をつくって性的暴行を繰り広げたとされる事件を受け、世界的な「#MeToo(私も)」運動に共鳴した怒りの抗議活動が繰り広げられている。

 紅海(Red Sea)に面したリゾート都市エイラート(Eilat)で発生したと伝えられた事件は、その度を超えた残虐さのため、過去の性的暴行に関する証言を共有しようと女性たちが名乗りを上げた。

More Than 30(30人超)」運動の主催者は、「政策立案者らに対して、私たちの社会の問題がわずか30人ほどのレイプ犯だけではないこと」を伝えようと、また性的虐待が凶悪な一事件よりもはるかにまん延していることを示そうと、この運動で人々に呼びかけていると説明する。

 女性の権利向上を目指す運動「女性の行進(Women's March)」のイスラエル組織「Mitsad Hanashim」はフェイスブック(Facebook)に、「すべての女性は、この国に30人超のレイプ犯がいることを知っている」と投稿。

 同団体は性的暴力を受けた被害者に対し、ソーシャルメディア上で加害者のファーストネームと暴行を受けた時点での自分の年齢を記載するよう求め、ヘブライ語とイスラエルの第2言語であるアラビア語の両言語で、「女性への暴力に関するデータはあるが、今こそ名前と統計を結び付ける時だ」と訴えた。

 暴行を受けた被害者らは、簡潔ながら衝撃的な内容を記述。

 運動の首唱者の一人、ルティ・クライン(Ruty Klein)さん(29)は、短くも残酷な投稿の一例として、「ヨナタン、私が17歳の時。タクシードライバー、20歳の時。そして父、私が5歳の時」と読み上げた。

 運動家らは、こうした証言が性的暴力の規模や影響を示すことになればと願っている。

 クラインさんは「私たちはこの長いリストを政府に提出する予定だ」とし、「暴力を目の当たりにして、政策を変えるという女性組織の要求を、政府が受け入れるよう求める」と述べた。

 今月起きたエイラートでの集団暴行事件は、当初、ほとんど注目されていなかった。

 地元メディアは20日、20代とみられる容疑者らが、少女が泊まっていたホテルの寝室外で列をつくって順番を待ちながら暴行に及んでいたと報道。同日夜には、同国の複数の都市で抗議デモが行われた。

 イスラエルのレイプクライシスセンター協会(ARCCI)によると、警察当局は、 同国で性的暴行を受けた人々の数が毎年8万4000人に上り 、1日当たりの被害者数は230人と推定しているという。

 女性の権利団体「HaStickeriot」の共同設立者、イラーナ・ワイツマン(Ilana Weizman)氏は、「イスラエルでは女性の5人に1人が、一生の間にレイプされる。そして3人に1人が性的暴行を受ける」とし、「性的暴力はすべての女性に影響をもたらす」と述べた。(c)AFP/Alexandra Vardi