【10月8日 AFP】米中央情報局(CIA)は7日、中国に焦点を置く新組織「中国ミッションセンター(CMC)」を設立すると発表した。中国を最大の長期的脅威とみなす米政府の姿勢が浮き彫りとなった。

 CIAのウィリアム・バーンズ(William Burns)長官は、同センターの設立目的について、中国がCIAの活動全体にもたらす課題に対処するものと説明。中国政府を「21世紀にわれわれが直面する最も重要な地政学的脅威」と呼び、同センターは「敵対姿勢を強める中国政府に対するわれわれの全体的取り組みを一層強化するものだ」とした。

 ジョー・バイデン(Joe Biden)政権は、中国を主要な「戦略的競争相手」と位置づける方向に対外政策を転換。2月には、中国の軍事的脅威を評価し対策を講じるための作業部会を国防総省に新設すると発表していた。

 CIAと連邦捜査局(FBI)は今回の発表に先立ち、中国が米国市民を勧誘して機密情報や企業の専有情報を提供させたり、米国で働く中国市民を情報収集者として利用したりしていた事例を数十件確認していた。米情報機関はまた、中国が世界の電子機器市場やハッキング分野で持つ強みを生かし、米国の政府や民間のコンピューターネットワークへの侵入を繰り返しているとみている。

 米紙ニューヨーク・タイムズ(New York Times)と米紙ワシントン・ポスト(Washington Post)の報道からは、CIAが中国に加え、パキスタンなどの敵対国からの脅威に直面していることが示されていた。両紙によると、CIAは最近、世界各地の支部に送った文書で、同局が各国で確保していた秘密情報提供者数十人を失ったことを認めた。そうした協力者の中には、拘束されたり、殺害されたりした人もいたとされる。(c)AFP