【10月9日 AFP】中央アフリカのコンゴ民主共和国の東部地域で、魔術を使ったと名指しされた女性が住民らに殺害されるケースが急増している。地元当局者と活動家が明らかにした。

 南キブ(South Kivu)州の地元当局者によれば、9月初めから3地区で女性8人が焼き殺されるなどのリンチ(私刑)を受けた。

「私たちの記録では、今年6月から9月にかけて、魔術を使ったという告発は324件に上っています」と、南キブ州のNGO「メディアで働く女性連合(Association of Women in the Media)」のメンバー、ネリー・アディジャ(Nelly Adidja)さんは言う。

 カレへ(Kalehe)地区だけで告発件数は114件に上り、このうち女性5人は生きたまま火を付けられ、他にも武装した「自警団」に連れ去られて行方が分からない女性が4人いる。

 南キブ州をはじめとする東部3州は長年、武装集団に支配されてきた。その多くは、四半世紀前の地域紛争の影響で台頭した組織だ。

「魔女狩り」の急増は国家統治の空白状態から生じていると、南キブ州の州都ブカブ(Bukavu)にある「農村開発高等研究所(Higher Institute of Rural Development)」の所長を務めるボスコ・ムチュキワ(Bosco Muchukiwa)教授(社会学)は言う。

「国がその基本的な使命に失敗しているからです。警察や司法機関がやるべきことをやっていない」と指摘する。

 ムチュキワ氏によると、魔女狩りをあおっているのは「バジャカジ(bajakazi)」と呼ばれるいんちき祈祷(きとう)師や自称霊能者だ。ほとんどが地元の女性で、自分には魔女が見分けられると言い張っている。

「うそなんです。あの連中に特殊な力はない。自分が操っている人々の従順さに付け込み、信奉者を増やし、自分の名声を高めて村での影響力を強めようとしているのです」とムチュキワ氏は言う。