【8月19日 AFP】アフガニスタンのイスラム主義組織タリバン(Taliban)に対し、「友好関係」を期待するとした中国の動きは、アフガニスタンにおける米政策の劇的崩壊から最大限の利益を引き出そうとしていることを示唆している。

 首都カブール陥落の翌日、中国はアフガニスタンとの「友好的で協力的な関係」を深化させる用意があると述べた。

 米軍が撤収する中、中国の巨大経済圏構想「一帯一路(Belt and Road)」による利益を追求する機会を察したようだ。

 北京の独立系政治アナリストは、中国はタリバンに対し、幾つかの重要な要求があると指摘している。

「一つ目は中国の投資を守り、中国国民の安全を確保すること」であり、「二つ目は、東トルキスタン(East Turkestan、新疆ウイグル自治区〈Xinjiang Uighur Autonomous Region〉)の分離独立勢力との関係を断ち、同勢力が新疆に戻るのを阻止すること」だと説明した。

 一方タリバン側も、中国との良好な関係を望むのであれば、中国国内のイスラム教徒への干渉は控えるべきだと理解しているものとみられる。

 中国では国営メディアが、新タリバン政権下で大規模な経済プロジェクトが実現する可能性を好意的に報じている。アフガン最大かつ世界2位の銅鉱床であるアイナック(Aynak)銅鉱山や、北部ファルヤブ(Faryab)、サリプル(Sar-i-pul)両州の油田に関するプロジェクトが例に挙げられている。

 また、リチウムイオン電池を動力源とする電気自動車(EV)のメーカー各社は、「リチウムのサウジアラビア」と呼ばれるアフガンの潤沢なリチウム埋蔵量に注目している。中国は世界最大のEV生産国だ。

 中国外務省の華春瑩(Hua Chunying)報道官は16日、中国との関係構築により大きな利益を得る立場にあるタリバンは「アフガニスタンの復興、発展に中国が関わることに期待」を示しており、中国は「これを歓迎する」と述べた。