【8月12日 AFP】国際人権団体アムネスティ・インターナショナル(Amnesty International)は11日、エチオピア北部ティグレ(Tigray)州の紛争で、エチオピア軍とエリトリア軍の兵士が数百人の女性や少女をレイプし、性奴隷として扱ったり、性器を激しく傷つけたりする残虐行為に及んだとする報告書を発表した。

 ティグレ州での残虐行為についてはエチオピア当局がすでに捜査を進めており、これまでに少なくとも3人の兵士が有罪判決を受け、25人が起訴された。アムネスティが被害者63人に対するインタビューに基づきまとめた今回の報告書からは、これまで明らかになっていなかった実態が浮かび上がっている。

 被害者の中には、数週間にわたり拘束され集団レイプを受けた人や、家族の目の前でレイプ被害に遭った人もいた。くぎや石などの異物を性器に挿入され、「長期的かつ、回復不能な可能性もある損傷」を受けたとの証言もあった。

 アムネスティのアニエス・カラマール(Agnes Callamard)事務総長は、「レイプや性暴力が、ティグレの女性や少女の心身に長期的損傷を与えるための戦争の武器として使用されたのは明らかだ」と指摘。「行われた性犯罪の深刻さや規模は特におぞましく、戦争犯罪に相当するものであり、人道に対する罪に当たる可能性もある」と述べた。

 エチオピア外務省はツイッター(Twitter)に投稿した声明で、性的暴行の疑いが掛けられている兵士の責任を追及する当局の努力を強調。アムネスティによる調査は「不十分で、厳密さが決定的に不足している」と反発した。

 2019年のノーベル平和賞(Nobel Peace Prize)を受賞したエチオピアのアビー・アハメド(Abiy Ahmed)首相は昨年11月、ティグレ州の与党「ティグレ人民解放戦線(TPLF)」を制圧するため、同州に派兵。以来、エチオピア北部では暴力がまん延している。

 AFP通信は過去に、エチオピア軍やエリトリア軍の兵士から集団レイプを受けた複数の被害者にインタビューを行っている。(c)AFP