「過去は水に流すべきだ」 フィリピン大統領、五輪金メダリストに自ら報酬
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【7月29日 AFP】フィリピンのロドリゴ・ドゥテルテ(Rodrigo Duterte)大統領は28日、東京五輪の重量挙げ女子55キロ級で金メダルを獲得した同国のヒディリン・ディアス(Hidilyn Diaz)に祝福のメッセージを贈り、「過去のことは水に流すべきだ」と語りかけた。ドゥテルテ政権は2年前、同大統領を脅かす危険人物としてディアスを名指ししていた。
五輪の金メダルを初めてフィリピンにもたらしたディアスは、マニラの空港に到着後、ドゥテルテ大統領とビデオ会議サービス「ズーム(Zoom)」を介して面会した。その様子は国営テレビで生中継された。
ディアスの活躍を祝福した同大統領は、政府と民間企業からの報酬とは別に、自ら300万ペソ(約660万円)を提供することを約束。そして過去の「良くないこと」を「忘れる」よう述べた。
「あなたは金メダルを獲得した。過去のことは水に流した方がいい」
フィリピン空軍の制服姿で金メダルを首から下げたディアスは、ドゥテルテ大統領に感謝の意を表し、敬礼した。
2019年、当時の政府報道官が「政権の信用を失墜させる」おそれのある危険人物数十人のリストを発表した。5年前のリオ大会で銀メダルを獲得しているディアスもそのうちの一人だった。
リストには、野党の政治家、国外追放された共産ゲリラのリーダー、ジャーナリストらが含まれていたが、疑惑を裏付ける内容は示されていなかった。
リスト発表当時、ディアスは「ショックです。私と両親の安全が心配です」と語っていた。
当時の報道官で、現在は大統領の首席法律顧問を務めるサルバドール・パネロ(Salvador Panelo)氏は今週、ディアスが反政府的な企てに加わっていたわけではなく、容疑者の一人からソーシャルメディアでフォローされていただけだったと、以前にも明確にしていると話していた。(c)AFP