【6月24日 AFP】香港の民主派日刊紙「蘋果日報(アップル・デーリー、Apple Daily)」の記者らは、24日付の最終号を編集するために慌ただしく動いていた。1面トップのネタは、遠くへ出向かなくても、自分たちがいるビルのすぐ外にあった。

 挑戦的な編集スタイル、辛辣(しんらつ)な論調、時にはどぎつい報道手法で知られる香港で最も人気のあるタブロイド紙は、自ら見出しを飾ることに慣れていた。

 だからこそ、表の通りに立つ何百人もの支持者に手を振る記者らの写真は、26年の歴史に幕を閉じる最後の1面にふさわしかったと言えるだろう。

 その見出しには「香港人、雨の中で惜別『われわれはアップルを支持する』」とあった。

 蘋果日報は、2019年の大規模な民主派デモを受け、中国政府が反体制派を排除するために昨年香港に導入した国家安全維持法(国安法)によって、ついに廃刊に追い込まれた。

 先週、当局はこの国安法違反の容疑で同社の資産を凍結し、編集長ら主要幹部5人を逮捕した。解散は、その6日後だった。