【6月21日 AFP】イラン大統領選は19日の開票の結果、エブラヒム・ライシ(Ebrahim Raisi)司法府代表(60)が約62%の得票率で当選した。国内の超保守派が歓迎する一方、米政府は公正な選挙ではなかったと批判。イスラエルは、イラン史上最も過激な大統領と呼んでいる。

 米国の制裁による経済危機の中で行われた今回の大統領選は、多くの有力候補が排除されたことを受けて、ボイコット運動が広がり、投票率は大統領選としては過去最低の48.8%にとどまった。

 イスラム教シーア派(Shiite)のライシ師は、預言者ムハンマド(Prophet Mohammed)の直系であることを示す黒いターバンを頭に巻いており、絶対的な政治権力を持つ最高指導者アリ・ハメネイ(Ali Khamenei)師(81)と近しい存在と目されている。

 保守系紙レサラット(Resalat)は1面トップで「新時代の幕開け」と報じ、ライシ師の圧勝を歓迎した。

 ロシア、トルコ、湾岸諸国の一部、シリアのバッシャール・アサド(Bashar al-Assad)大統領やレバノンのイスラム教シーア派政党・武装組織ヒズボラ(Hezbollah)、パレスチナ自治区ガザ地区(Gaza Strip)のイスラム原理主義組織ハマス(Hamas)といった中東の親イラン勢力、隣国イラクのムスタファ・カディミ(Mustafa al-Kadhemi)首相がライシ師に祝意を伝えた。

 穏健系紙ジョムフリ・エスラミ(Jomhouri-e Eslami)は、議会や護憲評議会から司法や軍に至るまで、保守派の権力基盤は今や強固なものとなっていると報じた。

 米国務省はライシ師の当選を受けて、イランの核開発をめぐる協議を継続する意向を表明した。しかし、ある報道官は、「イラン国民は、自由で公正な選挙プロセスを経て、自国の指導者を選ぶ権利を認められなかった」として大統領選を非難した。

 イスラエル外務省の報道官は、イランが「これまでで最も過激な大統領を選出した」と述べた。(c)AFP/Frank Zeller and Amir Havasi