【4月29日 AFP】イラン外相が軍の影響力の大きさについて不満を述べる音声が流出し、波紋を広げている。ハッサン・ロウハニ(Hassan Rouhani)大統領は28日、国際的な核合意再建に向けた協議が進む中で、イラン国内に「不和」を生み出すのが目的だと流出を非難した。

 25日に外国メディアが報じた音声記録は、モハンマドジャバド・ザリフ(Mohammad Javad Zarif)外相が、昨年米軍の空爆で殺害された革命防衛隊(IRGC)のガセム・ソレイマニ(Qasem Soleimani)司令官について語ったもの。

 米紙ニューヨーク・タイムズ(New York Times)によるとザリフ氏は録音の中で、イランが「軍事分野に支配されている」と嘆き、「私は軍事分野のために外交を犠牲にしてきた」と述べている。

 この音声記録をめぐり、6月18日に大統領選を控えたイランでは議論が沸騰。2015年のイラン核合意の立役者とされ大統領選出馬が取りざたされるザリフ氏に、批判が殺到している。

 ロウハニ大統領は、オーストリア・ウィーンでの核合意再建協議がまさに「成功の真っただ中にある時」に音声記録が流出した点を指摘。流出はイランの「国内に不和をもたらすため」に行われたとの見方を示し、「われわれは団結することによってのみ制裁を解除できる」と訴えた。

 ウィーン協議では、米国がドナルド・トランプ(Donald Trump)前政権下で離脱した核合意への復帰と対イラン制裁解除を行い、イランが合意義務を全面的に履行する内容で合意を目指している。(c)AFP/Amir Havasi