【12月8日 AFP】新型コロナウイルスの感染拡大を抑えるために多くの科学者らが先を争いワクチン開発に取り組む一方で、過去を調べる研究者らもいる。ウイルスは一体どこからやって来たのか、という最大級の謎の解明に取り組んでいるのだ。

 世界保健機関(WHO)のテドロス・アダノム・ゲブレイェスス(Tedros Adhanom Ghebreyesus)事務局長は11月30日、記者会見で「われわれは起源の解明を望んでおり、そのためにあらゆる手を尽くす」と言明した。

 だが、成功が約束されているわけでは決してない。

■拡散の起点

 1年前に中国の都市、武漢(Wuhan)で最初期の症例が報告されてから、世界各国で感染の拡大が記録され始めた。

 WHOによると、武漢の最初期の症例は2019年12月上旬から発生し始めたと考えられるという。

 しかし、WHOは11月の報告書で「エピデミック(感染例の突発的な増加)が最初に検出される場所は、必ずしもそれが始まった場所を示しているわけではない」としている。

 この数か月間、さまざまな国の研究者らが示唆してきたのは、下水や血液のサンプルの分析に基づくと、症例は2019年12月のかなり以前から見過ごされていた可能性があるということだ。

 だが、これらの主張を裏付けるための「明らかな証拠」がないと、仏パスツール研究所(Institut Pasteur)ウイルス学部門のエティエンヌ・シモン・ロリエール(Etienne Simon-Loriere)氏は指摘する。