【5月4日 AFP】起源がコウモリなのかセンザンコウなのかは、まだはっきり分からないが、一つだけ確かなことがある。それは、多くの命を奪い世界を混乱に陥れている新型コロナウイルスが動物界に由来することだ。

 新型コロナウイルスの人への感染を可能にしたのは人の活動に他ならない。専門家らは、このまま何も変わらなければ、今後もこの種のパンデミック(世界的な大流行)が発生するだろうと警告する。

 動物から人に伝染する感染症は「動物由来感染症(zoonosis)」と呼ばれる。ギリシャ語の動物(zoon)と病気(osis)に由来し、結核、狂犬病、トキソプラズマ症、マラリアなどもすべて動物由来感染症だ。

 国連環境計画(UNEP)によると、人の感染症の6割が動物由来だという。新興感染症に限れば、この割合は75%に上昇する。新興感染症としては、エボラ出血熱、エイズ(AIDS、後天性免疫不全症候群)、鳥インフルエンザ、ジカ熱、コロナウイルスの一種の重症急性呼吸器症候群(SARS)など多数が挙げられる。

 UNEPが2016年に発表した報告書によると「動物由来感染症の出現は、農業の集約化、人の定住、森林や他の動物生息地への侵入などの環境の変化やかく乱に関連する場合が多い」という。

 主要な懸念領域は、農地に転用するための森林伐採と集約的な畜産業だ。家畜は自然界の病原体と人との間の「橋渡し」となる場合が多い。また、畜産業界で抗生物質が広く使用されることにより、臨床現場で用いられる薬剤に対して病原体が耐性を持つことにもつながるのだ。

 さらには、都市化と生息環境の断片化によって生物種間のバランスが大きく乱され、また地球温暖化によって病気を媒介する動物が新たな生息地へと追いやられることも考えられる。