いまだ謎に包まれる新型コロナの起源
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■ヒトへの感染
新型コロナウイルス感染症が動物起源であることについては、科学者らの見解は一致している。
「大きな疑問は、どうやってヒトへの感染が引き起こされたかだ」と、シモン・ロリエール氏はAFPに語った。
「コロナウイルスの主要な宿主」であるコウモリが疑われてきたと、シモン・ロリエール氏は続ける。
だが、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)をヒトへ導く媒介動物が存在した可能性は高いと考えられる。
希少な哺乳類のセンザンコウは早い段階で遺伝子分析に基づき、媒介動物である可能性が高いとされた。センザンコウは横行する密輸の犠牲となっている野生動物だ。しかし、この疑いには決着がついていない。
WHOの調査団は今後、武漢の生鮮市場を調べることで、この点を明らかにする必要がある。市場で販売されていた生きた動物と野生動物は、初期症例の多くとの関連が指摘されている。
調査団は、世界的な大流行の始まりの時点ではまだなかった手掛かりを携えていく。
シモン・ロリエール氏によれば、ヒトに見られるのと同様のウイルス受容体タンパク質「ACE2」を持つ動物を注意して探せばよいのだという。
新型コロナウイルスはこの受容体を通して細胞に侵入する。ミンクやフェレットなどは、ヒトと非常に似た受容体を持つ。
陰謀論的なうわさの中で数か月にわたり飛び交っていた別の起源説は、新型ウイルスの流行に武漢ウイルス研究所(Wuhan Institute of Virology)が関係しているというものだ。
シモン・ロリエール氏は、新型ウイルスが誤って流出したという説はまだ完全には排除できないとしつつ、「人為的に作製されたことを示すものは何もない」と強調した。
■「難題」解決に向けて
WHOは、流行がどのようにして始まったかを理解することは「ヒトの集団へのさらなるウイルスの侵入を防ぐために不可欠」としている。
だが、どのようにして感染症が動物からヒトにうつったかを追跡調査する過程は「解決に数年を要する可能性のある難題」だと、WHOは警告している。
目標は「感染伝播(でんぱ)のメカニズムを理解し、さらなる新型のSARS-CoV-3やSARS-CoV-4などの出現を回避するための対策を整備する」ことだと、シモン・ロリエール氏は説明した。(c)AFP/Paul RICARD
