【11月15日 AFP】抗議活動や中国による国家安全維持法(国安法)施行に揺れる香港から企業を誘致しようと、東京都は猛アピールを続けているが、香港への売り込みは容易でないことが分かってきた。

 小池百合子(Yuriko Koike)都知事は「東京をアジアナンバーワンの金融拠点として復活させる」と宣言しており、都は10月、移転を検討する外国企業向けの支援窓口を香港に開設した。

 香港から海外への移転を検討している企業にとって、日本はある意味で至極当然の移転先であるかもしれない。世界3位の経済大国で、東京証券取引所(Tokyo Stock Exchange)があり、数々の金融機関や国際企業が拠点を設けている。

 しかし、大きな障害と競合相手も複数存在する。専門家らは、アジア地域で金融の覇者になるとの東京の野望は、夢物語の域を出ないかもしれないと指摘する。

 何よりもまず、日本の所得税最高税率は45%で、シンガポールの22%、香港の17%と比べるとはるかに高い。英語能力レベルが低いことや、デジタル技術の導入が比較的遅れていることも、以前よりハンディキャップとなっている。

 東証では先月、ハードウエアの故障が原因で取引が終日停止した。こうしたシステム障害は、信頼を高めて新たなトレーダーを呼び込むことを困難にする。