■他都市との激しい競争

 日本の欧州ビジネス協会(EBC)のミハエル・ムロチェク(Michael Mroczek)会頭は、菅義偉(Yoshihide Suga)首相によるデジタル化と規制緩和の推進に大きな期待が寄せられていると述べる一方、似たような取り組みが長年提案されているが、「あまり変化がないため、懐疑的な見方も強い」と語る。

 また、新型コロナウイルスの流行下で日本人が帰国する間にも、在留資格を有する外国人の再入国を何か月も認めなかった政府の厳しい水際対策には「差別」だとの意見もあり、暫定的な移転を検討している企業を躊躇(ちゅうちょ)させかねないと指摘する。

 さらに、今後考えられる香港からの企業流出を活用しようとするアジアの都市は東京にとどまらない。

 オーストラリアは香港の学生と起業家を対象に、新たなビザ(査証)を発給すると発表。同国当局は「非常に積極的に」企業誘致を行う意向を示している。

 調査会社IHSマークイット(IHS Markit)のアジア太平洋担当チーフエコノミスト、ラジブ・ビスワス(Rajiv Biswas)氏は、シンガポール政府は香港の安定と繁栄を望む姿勢を表明するにとどまっているものの、同国が企業にとって最も確実な移転先となる可能性が高いとの見方を示した。