【10月23日 AFP】ポーランドの憲法裁判所は22日、人工妊娠中絶をめぐり、先天異常が見つかった胎児の中絶を認める法律の条項を違憲とする判断を示した。カトリック教徒が多い同国はすでに、欧州で最も厳格な制約を伴う中絶関連法を設けているが、今回の判断でこれがさらに強化されることになる。

 裁判長は、先天異常のある胎児の中絶を認める既存の条項は、生命保護を定める憲法と「矛盾する」との判断を発表した。

 これを受けて、人権団体のアムネスティ・インターナショナル(Amnesty International)、米国の性と生殖に関する権利センター(Center for Reproductive Rights)、ヒューマン・ライツ・ウオッチ(Human Rights Watch)は共同声明を出し、「女性と少女にさらなる害を及ぼす」と非難した。

 また首都ワルシャワでは、数百人が街頭に出て抗議した。

 ポーランドでは1993年から、性的暴行、近親相姦(そうかん)、母体に命の危険が及ぶ場合、もしくは胎児の体に先天異常がある場合のみ、人工妊娠中絶が認められてきた。

 今回の憲法裁判断に基づき、保守与党「法と正義(PiS)」が、胎児に先天障害がある場合でも中絶を禁止にする法案を成立させる可能性が出てきた。

 人口3800万のポーランドで合法的に行われる中絶手術は年間2000件未満だが、女性団体は、違法または海外での手術件数は最大20万件に上ると推算している。(c)AFP/Anna Maria JAKUBEK