【10月6日 AFP】米国で最近、注目を集めている極右グループ「プラウド・ボーイズ(Proud Boys)」が利用しているハッシュタグが5日、ツイッター(Twitter)のトレンド入りをした。LGBTQ(性的少数者)コミュニティーがハッシュタグ「#ProudBoys」を奪い取ろうと、同性愛者が自らに誇りを持つべきとする考えを表す「ゲイ・プライド」関連の画像をこのハッシュタグを付けて投稿したためだ。

 プラウド・ボーイズは、米人権団体の南部貧困法律センター(Southern Poverty Law Center)にヘイト団体と認定されている。

 週末にかけて盛り上がりを見せたソーシャルメディアのハッシュタグ奪取運動は、先週行われた米大統領選の第1回討論会で、ドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領がプラウド・ボーイズの名前を出したことがきっかけとなった。

 トランプ氏はこの中で、白人至上主義者を非難することを避け、極左運動のアンティファ(Antifa)を批判。プラウド・ボーイズについては、「下がって待機せよ」と後押しするかのような発言をした。

 だが、LGBTQがプラウド・ボーイズのハッシュタグを乗っ取り、同性愛のカップルの画像や愛についてのメッセージをツイッターに投稿すると、「プラウド・ボーイズ」という言葉はまったく別の意味を持つようになった。

 ハッシュタグ乗っ取りのアイデアは、「スター・トレック(Star Trek)」シリーズへの出演で知られ、LGBTQの象徴でもある俳優ジョージ・タケイ(George Takei)氏が、自身のフォロワー約310万人に向けて提案した。

 タケイ氏は「BTS(防弾少年団)ファンやティックトック(TikTok)を利用する若者がヒントになると考えている。もし、同性愛者が、自分たちがいちゃつく写真やすごくゲイっぽいことをしている写真を撮って、#ProudBoysを付けて投稿したらどうだろうか。彼らをめちゃくちゃ混乱させるに違いない」と投稿した。

 タケイ氏のファンは期待を裏切らなかった。政治家や芸能人、カナダ軍など数千人がプラウド・ボーイズのハッシュタグを付けて同性愛者カップルの写真、愛についてのメッセージ、同性愛者の男性が踊る動画などをツイッターに投稿した。

 プラウド・ボーイズのリーダー、エンリケ・タリオ(Enrique Tarrio)氏は米CNNの取材に対し、この運動がプラウド・ボーイズに混乱を引き起こすことはなかったとし、自分たちは同性愛を嫌悪していないと主張した。

 タリオ氏は「ヒステリックな反応だと思う」「同性愛はわれわれを不快にさせるものではない。侮辱にもならない。われわれは同性愛嫌悪団体ではない。誰が誰と寝るかなんてどうでもいいと思っている。われわれがこういったことを気にすると思っているようだが、そうではない」と述べた。

「この運動で示された彼らの主張の一つは、われわれの支持者の声をかき消したい、われわれを黙らせたいということだ」「誰かが他者の意見をかき消そうとする時、そこには進歩的なことなど何一つないと私は考える。なぜ彼らは議論を交わそうとしないのだろうか」 (c)AFP